【今日のまとめ】

1.    ビットコイン先物がCBOEに上場された
2.    機関投資家が初めてビットコインに投資できるようになった
3.    しかしビットコインETFのほうが、材料としては重要
4.    ウインクルボス兄弟が最も有利なポジションにいる
5.    今後ビットコイン価格を動かす大材料はETF上場になる

 

ビットコイン先物が上場

 12月10日、CBOE(シカゴの先物取引所)にビットコイン先物が上場されました。これは仮想通貨の歴史にひとつの区切りをつける、大事なイベントでした。そこで今日は仮想通貨の現況について書きます。

 

なぜCBOE上場は重要だった?

 まずなぜ先日のCBOEにおけるビットコイン先物上場が重要だったかの理由を説明します。

 CBOEはCFTC(米国商品先物取引委員会)により公認されているデリバティブ取引所です。CFTCは米大統領直轄の政府機関であり、それがビットコイン上場を許可したのは、米国の連邦政府が初めてビットコインの存在を公に認めたことを意味するのです。

 

機関投資家のジレンマ

 機関投資家はこれまでビットコインのブームを、指をくわえて傍観してきました。その理由は、機関投資家は顧客の資産を運用するにあたってフィデューシャリー・デューティー(顧客本位の運用をする義務)を負っているからです。そして実際にフィデューシャリー・デューティーに則った運用をしているかどうか? の判断基準として、「ちゃんとした取引所に上場されている資産に投資している」ということが足切りになります。

 いま世界に存在するビットコイン取引所は、いずれも私設取引所に過ぎず、政府公認ではありません。だから機関投資家は、今回CBOEにビットコイン先物が上場されたことで初めてコンプライアンス・リスクを恐れずにビットコインに参戦できるようになったというわけです。

 

次の大きなイベント

 さて、CBOEへのビットコイン先物上場は、このようにビッグ・イベントには違いないのですが、それでも大部分の機関投資家はまだビットコイン投資には食指を動かさないと思います。その理由は、先物取引には限月(げんげつ)というものがあり、一定の期間が過ぎるとそのコントラクトは取引を終了します。つまり「期限付き」の投資対象なのです。

 年金や投信などの機関投資家のポートフォリオは、期限付きではない長期保有できる資産を中心に構成されています。だからビットコイン先物は、それらのファンドには不向きなのです。

 しかしビットコインETFが登場すれば、こちらはほとんどのポートフォリオに組み込み可能です。言い換えれば、今回のビットコイン先物上場は、次の大きなステップに向けた、「踏み台」に過ぎないのです。