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株高を支える「ほどよい湯かげん」いつまで続く?
窪田 真之
3分でわかる!今日の投資戦略〔平日毎朝8時掲載〕
楽天証券経済研究所の窪田真之と香川 睦が、日本株市場の分析と投資戦略をレポートします。 ともに元ファンドマネージャーであり、国内外のマーケット動向に精通。運用者、分析者としての幅…

株高を支える「ほどよい湯かげん」いつまで続く?

2017/12/12
・世界景気は「温かい」が、「熱く」はない
・原油価格は「ほどよく上昇」してきている。まだ「上がり過ぎ」ではない
・ガソリンや食品が値上がり、インフレじわり。消費への影響は?
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世界景気は「温かい」が、「熱く」はない

 世界的な株高が続く中、日経平均の上昇が続いています。私は、来年の半ばまで、上昇トレンドが続くと考えています。

 今の世界的な株高を一言で表すと、「適温相場」と考えています。世界景気は、世界の株高を支えるに十分なほど「温かい」が、世界的に金利が大きく上昇して株安を招くほど「熱く」はないということです。明日13日(水)に、米国の中央銀行であるFRB(連邦準備制度理事会)が、0.25%の追加利上げを実施することがほぼ確実ですが、それでも米国の金利水準は、歴史的に見て低い水準です。日本も欧州も、低金利が継続しています。

原油価格は「ほどよく上昇」してきている。まだ「上がり過ぎ」ではない

 今の世界株高を支える、もう一つの「適温」があります。それは、原油などの資源価格です。現在の原油価格は、世界景気に悪影響を及ぼすほど「高く」はなく、世界景気にショックを与えるほど「安く」もなく、「適温」と言えます。

 私は、世界的な好景気は、資源安メリットに支えられていると考えています。2014~15年に急落した原油価格は、今、ゆるやかに反発しつつあります。2016年1~3月は、原油が急落したショックで、世界景気が悪化。資源国(ブラジルやロシア)の景気だけでなく、資源の輸入国(米国・中国・日本)にも、資源安ショックが広がりました。米国では、シェールオイル・ガス業者に破たんが広がり、米景気全体に悪影響を及ぼしました。中国では石炭産業や鉄鋼産業が、悪影響を受けました。

 日本は、長い目で見れば、資源安の恩恵を受ける国ですが、2016年1~3月には、原油急落のダメージが広がりました。資源権益の減損(大手総合商社)、資源の高値在庫の評価損(石油精製・鉄鋼・化学)などによって、業績が悪化しました。

 2016年後半以降、原油が反発していることは、世界経済にとっても、世界の株式市場にとってもプラスに働いています。日本の企業業績も、原油価格の反発により、改善しています。原油価格が上昇しすぎると、コストアップによるマイナスが日本経済に及びますが、原油価格が高過ぎず、安過ぎない今は、日本の景気・企業業績に好影響を与えています。

 世界全体を見渡しても、同じことが言えます。資源産業が息を吹き返しつつあります。とは言っても、原油価格は4~5年前と比べて大幅に低い水準にあり、資源安メリットが世界的な消費拡大に寄与している状況です

WTI原油先物(期近)の動き:2014年1月2日~2017年12月8日

出所:シェールオイル生産コストは楽天証券経済研究所の推定


ガソリンや食品が値上がり、インフレじわり。消費への影響は?

 日本にインフレはまだないと言われますが、それでも家計にとって、やや気になる兆候もあります。ガソリンや食品、宅配便、郵便料金など、国民生活に直結する分野で、値上がりが目立つようになってきたことです。

 食品の値上げはいろいろな形をとります。ハム・ソーセージなどでは、価格を据え置いて内容量を減らす「実質値上げ」が行われることがあります。高齢化で食事量が減り、小さいパッケージでの買い物を好む消費者が増える中、内容量を減らす値上げは、意外とすんなり受け入れられることもあります。

 ただ、今年になって、全国で実施している「明治のおいしい牛乳」の容量削減には、落胆の声も多数出ています。価格据え置きで、1リットルの紙パックを、900ミリリットルのボトルキャップ式容器に変更。注ぎ口を改善したと言いますが、消費者から見ると、「実質値上げ」にしか見えませんでした。

 生活必需品で、品質は変わらないのに、価格だけ上がっていく場合は、家計を直撃します。喫煙者にとっては、タバコの値上げは財布を直撃します。もっと国民生活に直結するのは、ガソリン値上げです。自動車が生活の足になっている地方では、深刻な問題となります。

 それでは、ガソリン価格の動きを見てみましょう。

レギュラ-ガソリン販売価格(消費税込み・全国平均):2000年1月5日~2017年12月4日

出所:経済産業省 資源エネルギー庁デ-タより作成


 2016年3月にリッターあたり112円まで下がったレギュラーガソリン(全国平均)ですが、足元、141円まで上昇しています。ガソリン高によって車の利用を控えるといった動きはまだ出ていませんが、このまま上がり続けると、消費に悪影響が及びます。

 過去の経験則では、リッター当たり160円を超えると、消費を抑制する力が強まります。2000年以降の動きを見ていると、それは2回あります。2008年8月4日には、リッター185円に達しました。この直後に、リーマンショックと呼ばれる世界不況が起こっています。

 リーマンショックは、米国発の金融危機が世界に広がったことで起こったと言われますが、それだけが原因ではありません。エネルギー価格が高騰したため、世界的にインフレが進み消費をおしつぶしたことも、影響しています。

 日本では、ガソリン価格がリッター160円を超えた2008年5月以降、道路を走る自動車が目に見えて減りました。万年渋滞路線でも、すいすい走れるという事態が起こりました。インフレによって消費が萎縮し、世界的な不況が起こる前兆がはっきり現れていたわけです。

 同様に、レギュラーガソリンがリッター160円を超えた2014年も、消費が落ち込みました。2014年4月に消費税を5%から8%へ引き上げた影響が大きかったといえますが、円安によってガソリン価格の上昇が続いたことも、大きな影響を及ぼしました。

 今、ガソリン価格は、まだ141円までしか上がっていません。車での外出を控える動きが広がるほど、上がったとは言えません。ただし、これ以上、上がると、無視できない影響が出てくる可能性もあります。今後の動きを注意して見ている必要があります。

 

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