先週の国内株式市場ですが、日経平均は前週からの下落基調を引き継ぎ、6営業日の続落を見せた後に値を戻す展開となりました。週末11月17日(金)の終値は2万2,396円。前週末比では約284円(1.25%)の下げ幅となりました。週間ベースでは10週ぶりの下落です。

では早速、下の図1で足元の状況を見てみます。

■図1 日経平均(日足)の動き:2017年11月17日取引終了時点

出所:MARKETSPEEDを元に筆者作成

 まずは、ここのところ毎週チェックしている週足のピッチ状況です。9月8日を起点にして、635円、387円、60円、334円、465円、302円、551円、531円、142円の刻みで上昇した後、先週の下落を迎えています。これまでの上昇ピッチを合計すると3,400円ほどですので、先週の下落幅(284円)を差し引いてもまだ3,000円を超える上昇幅となっています。

 次に、移動平均線と株価の関係です。図1でも示されていますが、日経平均が下げ渋って反発を見せた水準は25日移動平均線辺りですので、この線がひとまずサポート(支持)として意識されてきたことがわかります。前回も指摘した通り、ここまでの株価下落は想定内ですので、「やっぱりね」という印象です。もっとも、肝心なのはここからで、このまま再び上昇トレンドに戻ることができるのかどうかです。

 そこで、ローソク足の並びについても確認すると、1日の取引値幅(高値と安値の差)が850円を超えた11月9日(木)のローソク足を境にして、陰線と陽線が交互に訪れています。こうした形は「鯨幕(くじらまく)相場」とも呼ばれているのですが、要は「売られて・買い戻され」を繰り返し、様子をうかがいながら下落してきたことを意味します。そして、先ほどの25日移動平均線の水準で下げ渋って反発を迎えてからも、まだこのパターンが継続しており、反発局面も手探りなのかもしれません。

 こうした様子見の動きは、5日移動平均線と株価の位置関係にも表れています。下落局面ではこの5日移動平均線が上値の抵抗となっているほか、週末17日(金)の安値もこの線が目安となっています。さらに、値動きの荒さにも様子見の姿勢が表れていて、先週は1日の取引値幅が300円を超える日が3営業日ありました(下の図2)。

■図2 先週の日経平均Tickチャート

出所:MARKETSPEEDおよび取引所公表データを元に筆者作成

 このうち、上昇したのは1日、下落したのは2日です。株価が伸び悩み&下落した日の売買が、上昇した日の売買と比べて多い日が増えると、それだけ買いの勢いが弱いことを意味します。そのため、今週の株価が引き続き戻り基調を維持した場合、売買量(売買代金・売買株数)の動向にも注意する必要があります。

 再びローソク足に視点を移します。今後の中期的なトレンド判断は、先ほども紹介した11月9日のローソク足がカギとなりそうです。

 相場のトレンドは日々の株価の上げ下げを伴い、上値と下値を切り上げ(切り下げ)ながら形成して行くのが一般的です。先週の値動きで下落から反発への動きを見せつつありますが、上昇トレンドへの復帰となるにはこの9日の高値である2万3,382円を超えていく必要があります。先週末の水準からは1,000円近く離れているため、短期間で達成するには、かなり「ハードル」は高いと言えます。

 そのため、たとえば米国の税制改革法案が進展する(ちなみに、先週は米下院で可決され、今後は上院での採決と、両院での法案調整が必要になります)とか、今週末から始まる米クリスマス商戦(感謝祭翌日のブラックフライデー)が好調な滑り出しを見せるなどといった、何かしらのキッカケが欲しいところです。

 こうしたキッカケがなければ、今週の日経平均は2万2,500円水準を中心に株価の落ち着きどころを探るような動きがメインシナリオ。基本的に弱気に転じる必要はなさそうですが、積極的な上値追いはしばらくお預けとなりそうです。

 ただ、同じ主要株価指数であるTOPIXのチャートを見ると、日経平均ほど良い印象はありません。こちらは株価が25日移動平均線を下抜ける場面があって、サポートとして微妙であるほか、週末17日(金)の終値もこの25日移動平均線の水準に留まっています。また、5日移動平均線が25日移動平均線を下抜ける「デッドクロス」の出現も匂わせています。(下の図3)。

■図3 TOPIX(日足)の動き:2017年11月17日取引終了時点 

出所:MARKETSPEEDを元に筆者作成


 そのため、今週はTOPIXの動きにも要チェックです。仮に、相場が軟調となった場合、TOPIXの直近安値である11月16日の1,737pよりも下落すると、上昇トレンドが崩れる可能性もあるため、少し注意が必要かもしれません。