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強気から慎重に転じるのはいつ?
土信田 雅之
テクニカル風林火山
テクニカルアナリストの土信田雅之が、マーケットスピードを用いたテクニカルな視点で国内株式市場の動向を読み解いていきます。

強気から慎重に転じるのはいつ?

2017/11/6
・先週は10月から11月の月またぎだが、17カ月連続「月初の日経平均は上昇」
・今週も「トレンド変化に対する警戒アンテナを張りつつ、強気のスタンス」が基本
・景気の拡大傾向や企業業績の上ブレ期待を折り込むと、株価水準は行き過ぎではない
・今の強気ムードに乗っても良いが、伸び悩んでからは慎重に見たほうが良い
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 連休が控えていたため、4営業日となった先週の国内株市場ですが、日経平均は相変わらず強い動きを見せています。週末11月2日(木)の終値は2万2,539円となり、前週末の終値(10月27日の2万2,008円)からは531円の上昇です。また、先週は10月から11月の月またぎでしたが、「月初の日経平均は上昇する」という記録も17カ月連続に伸ばしています。

 日経平均は9月8日を底に急ピッチな上昇基調を描き続け、足元では1996年7月以来、約21年ぶりの高値水準となっています。そして、気が付けば1996年6月のバブル崩壊後の戻り高値である2万2,666円が視野に入りつつあります。

■図1 日経平均(日足)の動き :2017年11月2日取引終了時点

出所:MARKETSPEEDを元に筆者作成


 さて、いつもの通り足元の状況を上の図1で確認します。

 まずは、ローソク足で先週の値動きを振り返ってみます。週の最初は前週末(10月27日)に乗せた2万2,000円台を挟んでのもみ合いでスタートし、「やはり上値は重たくなってきたか・・・」と思いきや、11月1日(水)に出現した大きな陽線によって、株価水準の切り上げと上値追いのムードが強まり、週末の11月2日(木)には2万2,500円台乗せを達成。終わってみれば強かったという展開でした。

 とりわけ、11月1日(水)の陽線が印象的ですが、この日の上昇の背景には、米国市場の株高基調が継続していることや、20年ぶりに営業利益が過去最高を更新する見通しとなったソニーなどのように、好業績の国内企業が相次いでいること、午後に開かれた衆院本会議にて安倍首相が選出されるといった政治的な安心感などが挙げられます。

 また、週足ベースの上昇ピッチも衰え知らずの様相が続いています。先週末で8週連続の上昇になるわけですが、そのピッチの刻みは635円、387円、60円、334円、465円、302円、551円、そして先週の531円です。

 また、東証1部の売買代金は週を通じて3兆円台を超える日が続くなど、売買も盛り上がっています(下の図2)。1日平均の売買代金は約3兆6,580億円で、前の週(約2兆8,370億円)よりも増えています。

■図2日経平均と東証1部の売買代金

出所:取引所公表データを元に筆者作成


 前回、「株価が伸び悩み&下落した日の売買が、上昇した日の売買と比べて多い日が増えてくると要注意」と書きました。

 先週のうち、売買が最も多かったのが、株価が伸び悩んだ10月30日(月)の約4兆円で、その次に多かったのが、株価水準を切り上げた11月1日(水)の約3兆7,557億円です。株価が伸び悩んだ日のほうが取引は多くなっているため、注意が必要になってきたと言いたいところですが、実際はあまり差はありませんし、両日の売買は共に高水準ですので、取引量の状況からは上昇基調に変化が見られたと判断するのは難しいと言えます。

 そのため、今週も「引き続き、トレンドの変化に対する警戒アンテナを張りつつ、強気のスタンス」というのが基本になりそうです。トレンド変化のサインとしては、先ほどの「株価が伸び悩んだ日の取引量の動向」に注目するほか、前回も紹介した、「上値と下値の切り上げパターンが崩れる」、「株価が移動平均線を下抜ける」などに注意です。

 とはいえ、「このまま強気スタンスでも大丈夫なのか?」と感じるのが正直なところかと思います。テクニカル分析の指標では、25日移動平均線とのかい離率が天井圏を指摘するものとして挙げられます。

■図3 日経平均(日足)と移動平均かい離率:25日

出所:MARKETSPEEDを元に筆者作成


 ここ数年の日経平均を見ると、25日移動平均線とのかい離が、少し動いた時は+3%、大きく動いた時は+6%辺りで天井をつける傾向があります。先週末時点でのかい離率は5.86%ですので、このパターンでいくと、「そろそろ天井が近い?」ことになります。

 ただ、日経平均が節目を次々と突破する中で、「さすがにもう天井だろう」と思って売り建てのポジションを組んだものの、上昇が一服するどころか、さらに株価が上昇してしまって含み損が発生し、いわゆる「踏み上げ」の格好になってきたのも事実です。

 具体的な例では、NF日経レバレッジ型ETF(銘柄コード:1570)の信用取引状況が挙げられます。買い残高よりも売り残高の方が多い、いわゆる「売り長(うりなが)」の状況が続いていて、個人投資家は、高値警戒感を抱き続けてきたことがわかります(下の図4)。

■図4 NF日経レバレッジ型ETF(1570)の信用取引残高の推移

出所:取引所公表データ等を元に筆者作成


 相場に強いトレンドが発生しているときは、株価水準が「高いか安いか」ではなく、相場が「強いか弱いか」で判断されがちになるため、この状況下で天井圏を狙った逆張りを行うのは難易度のハードルが上がることになります。

 また、「株式市場には過熱感があり、バブルなのか?」の認定については、意見が分かれているところですが、最近は過熱感を否定する見方が優勢になっている印象です。

 その根拠としては、「国内外の景気の拡大傾向をはじめ、企業業績の上振れ期待を折り込めば、今の株価水準は決して行き過ぎではなく、むしろさらに上昇していく可能性も十分にある」というものです。

 もっとも、景気拡大局面について、米国では100カ月間を突破し、日本も「いざなぎ超え」となっていて、景気の拡大はこれからというよりはむしろ終盤に差し掛かっています。新たな景気拡大に繋がる材料が出てこないと賞味期限切れとなる恐れがあります。

 一方の企業業績の上ブレ期待については、足元の企業決算を受けて日に日に高まり、現在の日本株を買う動機のひとつになっています。もちろん、成長に見合う企業価値があれば、市場参加者によって合理的に株価が形成されますが、必ずしも投資家が期待している考えと実態の価値とは一致するとは限りません。

 企業が決算で増収増益や来期の見通しを上方修正しても、業績の伸び率が鈍化している、もしくは投資家の期待以下になるようであれば株価は修正されていくことになります。とりわけ、今後の業績見通しについては、足元の相場の強気ムードを受けて、今の投資家が抱いている期待はかなり高くなっている点には留意しておく必要があります。

 国内企業の決算発表シーズンは今週でピークを迎えますが、以降は米国の動向(税制改革、クリスマス商戦、次回FOMC:米連邦公開市場委員会)が注目されそうです。そのため、しばらくは相場の材料が乏しくなる「狭間の時期」に差し掛かることになり、相場上昇が一服するタイミングとして意識される可能性が高そうです。

 これまでの急ピッチな株価上昇の波に乗れなかった投資家にとっては、株価上昇の一服や調整局面は絶好の買い場として待ち遠しいものかもしれませんが、先ほどの景気認識や企業業績への期待度の修正を踏まえると、調整後の株価が思ったよりも上昇しない可能性があり、「今の強気ムードにはとことん乗っても良いが、伸び悩んでからは少し慎重に見たほうが良い」のかもしれません。

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