相場は「不安の崖」を駆け上がれるか?

 まず、最初の関門となるのは、今晩発表の米9月雇用統計です。

 先ほども述べたように、米FOMC以降の株式市場は、米経済の「ソフトランディング」シナリオを前提に動いてはいるものの、米国の景況感への不安は根強く、今晩の米雇用統計をはじめ、今後の経済指標や企業業績の動向次第では容易に「ハードランディング」シナリオや、「スタグフレーション」シナリオへと移りやすい状況でもあります。

 そのため、今回の雇用統計の結果が市場予想通りであれば問題ないのですが、失業率が予想以上に伸びるなどのサプライズがあった際には注意が必要です。

 その場合、米国の追加利下げの期待が高まり、米株市場を支える可能性もありそうですが、日米金利差縮小による円高要因で日本株によって向かい風になることや、次回のFOMC(11月6~7日)までかなり時間があるため、相場の地合いが目先の景況感の変化に対して過剰に反応しやすくなってしまうことも考えられます。

 このほか、米国の景気やインフレについては、先月26日に米国に上陸し、各地を襲ったハリケーン「へリーン」の被害状況や、米東海岸やメキシコ湾岸で10月1日に始まった労働者のストライキが長期化することによる影響なども気掛かりな材料です。

 さらに、10月下旬に見込まれている国内総選挙と、11月5日の米大統領選挙といった日米の政治イベントがくしくも近い時期に行われることで「政治の季節」を迎えたことや、ここに来て中東情勢がにわかに緊迫化してきたことなど、相場を取り巻く外部の環境はあまり好ましくない状況になりつつあります。

 確かに、「相場は不安の崖を登る」「遠くの戦争は買い」という相場格言がある一方、10月は「オクトーバーサプライズ」で相場が荒れやすいタイミングでもあり、これまでの強気相場が正念場を迎え、しばらくは値動きの荒い展開も覚悟しておく必要がありそうです。