石破新総裁を嫌気して急落する局面は「買い場」と判断

 石破新総裁の政策の全貌はまだ見えていません。あくまでも、私の個人的意見ですが、石破氏は、株式市場にショックを与えるような政策を性急に打ち出すことはないと予想しています。その意味で、CME日経平均先物が2,400円近く下がっていることは、過剰反応だと思っています。

 今週の日経平均が実際に大きく下がるようならば、そこは長期投資で日本株の買い場となると考えています。

【1】金融所得課税強化を性急に進めることはないと予想

「金融所得課税強化」については、党内の有力者から一斉に猛烈な反対が出たことを受けて、発言を修正しています。石破氏は「金融所得全てに課税強化するという考え方には反対だ」と強調し、課税強化は一部の富裕層に限定すべきとしています。

【2】日銀の独立性と金融正常化を支持しつつも性急な利上げは求めないと予想

 石破氏が日銀の利上げを許容するとみられていることから、急激な円高が進みましたが、やや過剰反応と思われます。石破氏は、日銀の独立性と金融正常化を支持しており、その考えは変わらないと思います。一方で、石破氏はデフレ脱却の必要性にも言及しており、デフレ脱却前の性急な利上げには賛成しないものと思われます。

 石破氏の政策の全貌は分かりませんが、自民党内の意見を幅広く取り入れて調整していくと考えられます。総裁選の決選投票で、議員票によって逆転勝利したのは、石破氏の方が調整能力に長けていると、党内の有力者が考えたからだと、私は思います。

 実際、自民党四役や組閣人事に、総裁選を戦った人材を幅広く取り込んでいく姿勢を表明していることに、その調整能力が現れていると思います。

 あくまでも私見ですが、石破氏は、自らの信念は変えないものの、力づくで自分の考えを押し通すことはせず、バランスの取れた政策運営をしていくことで、自民党主流派の力を取り込んでいくものと思われます。

 石破新総裁は、総理大臣に就任した後、10月9日にも衆議院を解散して総選挙を実施する考えを示しています。当面は、解散総選挙に勝利するための党内結束を重視するためにも、株式市場にネガティブ・サプライズとなる発言は控え、安全運転に徹すると考えられます。

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