2024年1-3月期に利益倍増の好決算、通期の販売目標を上方修正

現地コード 銘柄名
00175

吉利汽車

(ジーリー・オートモービル)

株価 情報種類

8.79HKD
(7/2現在)

 株価
 企業情報
 チャート

 中国の自動車大手、吉利汽車の2024年1-3月期決算は、売上高が前年同期比56.1%増と販売台数の同47.5%増を上回る伸びだった。粗利益率は低下したが、純利益は118.6%増の15億6,000万元。主に営業費用率の低下と投資収益の増加が寄与した。2024年上期の販売数が前年同期比41%増の95万5,730台に達したことを受け、同社は通期の販売目標を190万台から200万台に上方修正。BOCIはさらに強気の販売台数見通しを示すとともに、2024-25年の予想純利益を10-16%増額修正し、72億4,000万元、76億8,000万元に設定した(予想値にはルノーとのパワートレイン合弁事業の設立に伴う経常外利益76億元は含まない)。現在株価のバリュエーションには、新エネルギー車(NEV)への移行の初期的な成功や従来型ICE車(ガソリン車など)市場における存在感の高まりが反映されていないと指摘。目標株価を維持し、株価の先行きに強気見通しを継続した。

 1-3月期の増収率が販売台数の伸びを上回ったのは旗艦ブランド「吉利」のアップグレードによるもので、高級EVブランド「ZEEKR」を除く1台当たり売上高は5.2%増の9万8,000元。粗利益率は前年同期の14.2%から13.7%に低下したが、純利益は2倍強だった。

 粗利益率はブランド別にまちまち。「ZEEKR」が11.8%へ前年同期比3.9ポイント改善する半面、「吉利」などその他ブランドは14.4%と、同1.9ポイント低下した。これは20万元以下のセグメントにおける競争激化を背景に、2023年6月に本格投入した「吉利銀河」シリーズの低利益率が響いたため。BOCIは1桁台前半にとどまったとみている。

 一方、2024年上期の販売台数は41%増と、乗用車業界全体の伸びをアウトパフォームした。内訳は、NEVが32万185台と倍増以上の伸びを記録し、全体に占める割合は33.5%へ約12ポイント上昇。ブランド別では、「ZEEKR」が106.1%増の8万7,870台。コスト優位や機能・性能、グループ全体のシナジーを強みに、高級EVセグメント(20万元超)での存在感を高めた。「吉利」の販売台数は34.1%増の74万1,860台で、うち「吉利銀河」は8万1,421台。値下げ競争下で苦戦している「銀河」だが、BOCIは低価格NEV分野を補完することで、「吉利」ブランド全体のNEVシフトを加速させる効果を見込む。

 BOCIは「吉利」ブランドの国内外の販売成績が予想を上回ったとして、同社の2024年、2025年の販売台数見通しを203万台、215万台に上方修正。これに伴い、予想売上高を2,329億元、2,672億元に増額修正した。予想粗利益率を引き下げながらも、効率化に伴う営業費用率の低下を予想。この2年間の同社全体の予想純利益を引き上げた。現在株価は2024年予想PER(株価収益率)で11.4倍、同予想PBR(株価純資産倍率)1倍以下。時価総額は885億HKドルと、直接の競合である長城汽車(02333)の1,029億HKドルを下回り、過小評価されている可能性があると指摘。SOTP(サムオブザパーツ)方式に基づく目標株価を維持し、株価の先行きに対して強気見通しを継続している。