1-3月期決算は予想上振れ、AI活用効果で収益性と効率性が向上

現地コード 銘柄名
01024

快手科技

(クワイショウ・テクノロジー)

株価 情報種類

58.15HKD
(5/23現在)

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 ショート動画プラットフォームを運営する快手科技の2024年1-3月期決算は、売上高が前年同期比17%増の294億元と、市場予想およびBOCIの予想を各1%上回った。引き続きEC事業(28%増収)がけん引した形。粗利益率は54.8%に改善し、調整後純利益率は過去最高の14.9%と、いずれも予想を上回る水準だった。BOCIは短中期的に、EC事業が増収をけん引するとの見方。同時に、AI機能の活用と統合がマネタイズ力を強化し、収益化とコストの効率化が進むとみる。また、向こう3年間で総額160億HKドルという新たな自社株買い計画に言及し、同社株価の先行きに対して強気見通しを継続している。

 短期的には堅調なトラフィックを受けたEC事業の勢いが売上高の伸びをけん引する見込み。BOCIはさまざまな消費シナリオにおけるAI/LLM(大規模言語モデル)の配置が、ユーザーエンゲージメントの深化やアルゴリズムの最適化、収益性の改善とコスト効率化、さらには商業化へのイマジネーションの強化につながるとの見方。同社が引き続き、ROI(投資収益率)優先の戦略と、「live streaming+」や求人プラットフォーム「Kwai Hire(快聘)」などの収益化を実現する見通しを示した。当面は収益貢献が限られるが、長期的にはマネタイズが期待できると指摘。2024-26年の売上高とEC部門のGMV(総流通額)に関する予想を据え置きつつ、予想純利益を増額修正した。粗利益率の上方修正や売上構成比の変化、コスト効率の改善、営業経費の抑制見通しなどを反映させた。

 1-3月期決算を見ると、売上高は前年同期比17%増の294億元。MAUとDAU(月間および1日当たりのアクティブユーザー数)は同7%増、5%増。ECの堅調とAIの活用、新たな広告商品の投入、オムニプラットフォーム化のけん引で、オンライン広告収入は27%増。デジタルシェルフベースのECやショート動画ECといった消費シナリオの多様化を背景に、EC事業のGMVは28%拡大している。また、全体の粗利益率は54.8%と、前年同期比で8.4ポイント、前四半期比で1.7ポイント上昇。非IFRSベースの純利益は前四半期比横ばいの44億元と、市場予想を大きく上回った。

 同社は2024年5月22日時点で、6月13日までの自社株買い枠40億HKドルのうち約77%を消化した。これとは別に、同社は2027年6月までの3年間に総額160億HKドルを上限とする新たな自社株買い計画を発表している。

 BOCIは引き続き、2024年予想PER(株価収益率)(非IFRSベース)15倍を当てはめ、目標株価を小幅に引き上げた。新たな目標値は2024年の予想PSR(株価売上高倍率)では2.2倍、同年予想PEGレシオでは0.4倍に相当する。

 一方、レーティング面の潜在リスク要因としては、規制リスクや競争激化、国内の景気回復の遅れ、非効率的な戦略の履行、コンテンツ供給および供給源、海外での非効率なマネタイズ、主要株主による株式分配などの可能性を挙げている。