化学設備部門が不振、海運の排出削減や製鉄副生ガスの転換事業が成長けん引へ

現地コード 銘柄名
03899

中集安瑞科

(シーアイエムシー・エンリック・ホールディングス)

株価 情報種類

6.61HKD
(1/18現在)

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 中国国際コンテナ(02039)傘下の気体・液体輸送用設備メーカー、中集安瑞科は2023年後半に化学・環境用セグメントの減収に直面したが、BOCIはこの傾向が2024年も続くとの見方。半面、海運業界のクリーン燃料への移行が追い風になるとみて、引き続き同社全体で収益成長を維持する見通しを示した。一方、同社は鉄鋼大手のアンガン・スチール(00347)との合弁事業を再現したLNG・水素転換プロジェクトに乗り出すことで、長期の安定的な収益確保を目指す方針。BOCIは2023-25年の予想純利益を3-10%減額修正し、目標株価を引き下げながらも、株価の先行きに強気見通しを継続している。

 化学・環境用設備の売上高は2023年1-9月に前年同期比8%減少したが、これはコロナ禍明けの2022年に海外需要が急増したことによる反動減。7-9月期には新規受注が同43%の落ち込みを示した。BOCIは通期の部門売上高が前年比11%減少すると予想。2024年にさらに4%の減収を見込むが、子会社が2023年10-12月に本土A株市場に分離上場した影響で、同部門の不振による同社全体へのマイナス影響が緩和されたとみる。

 一方、国際海運業界の温室効果ガス(GHG)排出を2030年までに、2008年比で20%削減するという国際海事機関(IMO)の要求は、同社のクリーンエネルギー用設備部門の追い風。LNGを含むクリーン燃料仕様の新造船が増加する中、クリーンエネルギー用設備の受注残高は9月末に前年同期比50%増の155億元を記録。海運関連の受注残は11月末に80億元を超え、2024年の力強い部門増収を支える見通しとなった。

 アンガン・スチールと折半出資で設立した共同出資会社は2024年下期に操業を開始する予定。製鉄所で副生するコークス炉ガスをLNGと水素に変換し、鉄鋼メーカー側(アンガン)に供給するプロジェクトであり、中集安瑞科としては当面の設備販売収入と、操業開始後の安定的なリターンにつながる。2025年末までの操業開始を目標に、さらに同種の共同出資案件2件で、この事業モデルを採用する意向という。

 BOCIは製品需要の低迷を理由に、化学・環境用設備部門の2023-25年の予想売上高を6%、11%、11%減額修正。液体食品用設備の売上高に関しても、予想を下回る対人民元のユーロ相場を反映させる形で、2%、4%、4%引き下げた。また、ノルウェー企業ヘキサゴンプルスとの合弁会社の利益貢献の落ち込みやアンガンとの共同出資事業の立ち上げの遅れを受け、2024年の合弁事業利益に関する予想を62%下方修正している。

 BOCIはより控え目な視点から、目標算出基準を向こう2年の予想PEGレシオ(利益成長率を加味した株価指標:PER(株価収益率)÷1株当たり利益成長率)1.1倍から、同1.0倍に変更。目標株価を引き下げながらも、株価の先行きに対して強気見通しを継続した。レーティング面の潜在リスク要因としては、予想以上の化学・環境用部門の収益減の可能性と、クリーンエネルギー設備部門の利益率低迷の可能性を挙げている。