2023年1-3月は7%の増収増益、低コストを武器に国際事業を強化

現地コード 銘柄名
09698

万国数拠

(GDSホールディングス)

株価 情報種類

10.00HKD
(5/30現在)

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 中国のデータセンター大手、万国数拠の2023年1-3月期決算は、売上高が前年同期比7.4%増の24億元、調整後EBITDA(利払い・税引き・減価償却前利益)が7.5%増の11億3,000万元だった。売上高が市場コンセンサス予想を下回る半面、EBITDAは小幅に上振れた。同社は主要顧客と連携し、東南アジアなどへの国際展開を強化している。BOCIはバックログ(顧客と契約済みの未稼働施設エリア)の履行が今後のEBITDAの改善を後押しし、中国本土でのデータセンターの稼働率改善にも寄与するとの見方。DCF(ディスカウントキャッシュフロー)方式に基づく目標株価を引き下げながらも、株価の先行きに対して強気見通しを継続している。

 1-3月期の売上高は24億元と、市場予想を3.2%下回った。3月末の稼働面積は前年同期比13.4%増の37万6,632平方メートル。月間サービス収入(MSR)は同6.4%減の1平米当たり2,149元だった。調整後EBITDAは11億3,000万元。主に販管費の抑制で、市場予想から1.3%上振れた。

 国内事業に関する今後3年間の目標は設備投資を年間20億-30億元(23年は60億-70億元)に抑えつつ、バックログの履行を迅速に進めること。調整後EBITDAの年率平均10%台半ばの成長を目指すとともに、稼働率の改善と設備投資の抑制で、フリーキャッシュフローをプラスとする方針。また、純負債比率を現行水準以下に抑制。プロジェクトレベルの税引き後内部収益率(IRR)を10-13%(アンレバード・ベース)に維持する。

 一方の国際事業では、低開発コストを武器に、世界の有力企業の開拓と中国での主要顧客の維持を目指す方針(単位当たり開発費は海外現地企業より約2割低い)。中長期的には、まず3年以内に調整後EBITDAに占める国際ビジネスの比率を10%以上に引き上げ、中国国内と同レベルの投資リターンを目指す方針。

 BOCIは地域構成の変化を理由にMSRに関する想定値を引き下げ、2023-25年の予想売上高を0.4%、0.0%、3.2%下方修正。半面、主に販管費の抑制を反映させ、2023-24年の調整後EBITDAを各2.4%、1.6%上方修正し、それぞれ45億5,200万元、51億1,400万元に設定した。調整後の純損失に関する最新予想は2023年が13億7,800万元、2024年が13億7,600万元。減価償却費が当初予想より膨らむ見通しから、赤字予想を引き上げている。

 BOCIはまた、継続的な国際ビジネスの強化を理由に、2025年以降の調整後EBITDAマージンに関する予想値を下方修正し、同社米株の目標株価を引き下げた(香港H株の目標株価も同水準)。株価の先行きに対しては強気見通しを継続している。

 一方、レーティング面の潜在リスク要因としては、国際競争の激化や供給過多に伴い価格決定力が後退する可能性、設備稼働率の低下を受けた採算悪化の可能性、電気料金値上げや商品インフレに伴うコスト増の可能性などを挙げている。