2022年の株式市場の見通し

 2021年12月17日現在、日経平均の年初来の騰落率はプラス4.0%の上昇となっています。高値と安値の値幅は3,800円超の水準で、そのレンジ幅は前年終値比で14%の水準にとどまっています。

 2020年のレンジ幅は前年終値比で47.5%であったため(ここ10年の平均は30%程度)、2021年は非常に方向感の乏しい株価推移であったといえます。また、同期間のNYダウ(ダウ工業株30種平均)は15.5%の上昇であり、日経平均は10%以上のアンダーパフォーマンスとなっています。

 2022年の米国株市場は、景気動向や企業収益は2021年に比べて改善する可能性も高いですが、バリュエーション(妥当なPER[株価収益率]水準など)が低下するとみられ、軟調な推移をたどるものと考えます。

 バリュエーションが低下するのは、金融引き締めによって株式市場への資金流入が減少するとみられるためです。金融引き締めによって借り入れが抑制されることにより、膨らんだ信用買い残の整理が進むとみられるほか、企業の自社株買いなども減少するものと想定されます。

 過度な「オミクロン株」への警戒感はやがて後退すると考えますが、その後は、実際に金融引き締めの動きが強まるに従い、株価は調整色を強めていくことが見込まれます。

 日本株に関しては、2021年に米国株と比較して出遅れた分の修正高も想定されますが、実際には、株式市場とは相いれないであろう「分配政策」を主眼とした岸田政権のもとにあって、外国人投資家がウエートを高める可能性は低いと考えます。

 今後、金融所得課税、自社株買いガイドライン設定、四半期決算の見直しなどの議論が強まるたびに、警戒感は強まっていくものとみられます。結局2022年の日本株も、米国株式市場の動向に連動するような動きになりそうです。

 オミクロン株への警戒感後退、それに伴う経済活動の一段の本格化期待、2022年度企業決算への期待などで、年前半には買い優勢の場面も見られそうですが、その後は米国株の下落に併せて軟化するような展開を想定します。

 2022年の主要イベントとして、まずは夏の参院選が挙げられます。それまでの岸田政権の支持率次第では、自民党の議席数減少、それに伴う政権の不安定化が警戒されることになりそうです。

 秋には米中間選挙が行われます。これまでの傾向からも、「ねじれ状態」になっていくリスクが大きく、その後の政策運営は困難になっていく可能性が高いとみられます。

 加えて、中間選挙前には、選挙対策として、米中摩擦が再燃しやすいこと、富裕層に対する増税プレッシャーなどが高まりやすいことも注意が必要になります。

 また、2022年4月には東証市場が再編され、10月からはTOPIX(東証株価指数)のリバランスが開始(流通時価総額の小さい銘柄を段階的に削除)となります。段階的削除銘柄の株価パフォーマンスは年間を通して相対的に低調となる可能性が高いでしょう。