5月から10月の半年間は株を保有しない

──ほとんどの人は「イベント投資」といってもピンとこないと思うので、具体的にどういうものなのかお話しいただけますか。

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 ひと言でいえば「ある出来事に対して値動きの法則を見出し、優位性の高いほうに投資する」という方法です。

──分かったような、分からないような(笑)。

 実例で説明したほうが分かりやすいと思うので、一つ例を挙げます。米国のウォール街に「Sell in May, and go away; don't come back until St Leger day」という格言があります。日本語に訳すと「5月に売って去れ。そしてセント・レジャー・デーまで戻ってくるな」という意味です。「セント・レジャー・デー」というのは9月の第2土曜日に行われる競馬のレースのこと。つまり、「9月まで戻ってくるな」ということです。

──要するに5月から9月までは株を保有するなと?

 おっしゃる通りです。たぶん誰かが1年のなかで5月から9月までは株式相場が冷え込むことが多いと気づいたんでしょう。だから、その間保有していると資産を減らすだけだと。

──実際、そうなのですか。

 日本株について調べたところ、これに近い事実が確認できました。2000年から2017年の日経平均株価の季節変動をチェックしてみたら、11月から4月までは株価が上昇する傾向が強く、5月から10月までは下落する傾向が強かったんです。もちろん、毎年必ずというわけではありません。それに11月から4月でも1月はマイナスになることが多いし、5月から10月だと6月はプラスになることが多いので、例外もあります。でも、2000年から2017年に限れば、季節によっていい時期と悪い時期があったのは紛れもない事実です。

──だとするとどんなことがいえますか?

 11月頭に日経平均株価に連動する投資信託やETF(上場投資信託)、先物などを買って4月まで保有する。5月頭にすべて売り、10月末まで何もせず休む。もし18年間、ずっとこれを続けていたら、トータルでは大きな利益を出せたということです。

──相場がよくなりがちな時期だけ保有しているのだから、当然、勝てるわけですね。

 そういうことです。

──計算上だとどれくらい勝てますか?

 1999年末に日経平均株価連動の投資信託などを買い、2017年末まで保有していたとします。その場合、資産は1.2倍にしかなっていません。2000年代前半やアベノミクスのときなど好況に湧いた時期もありますが、実際にはその程度しか株価は上昇していません。それに対して毎年11月から4月の半年間だけ保有するという手法を取ったと仮定すると、2.75倍に増えます。半年間だけ保有したほうが有利だったわけです。

──なるほど、面白いですね。

 これはあくまでも過去18年間のデータにもとづく試算であって、今後も同じような傾向が続くかどうかはわかりません。でも、18年続いたんだから、これからも続いてもおかしくはない。だったら、その規則性にのっとって投資したり、ポジション量を調整するのもアリではないかというのが私の考えです。

──つまり、これからも11月頭に買って4月に売ればそれなりの結果を出せるのではないかと。

 はい、そういうことです。特に2~4月に株価が上昇するパターンはよくあるので、年明けから春にかけて基本スタンスとしては強気目線で相場に向き合っています。