【Q2】金融相場の最後は暴落?

 金融相場が反落に転じる原因は通常、FRBの金融引き締め転換とされます。

 しかし、相場下落の衝撃度は、市場の内部要因に影響されるところが大きいのです。金融緩和でだぶつくマネーが株式などリスク資産に流れ込み、相場が上昇すると、投資ポジションが積み上がり、含み益を膨らませます。投資家が、経済や政策の変化を見て、利益確定売りをしようと動いて相場が下がると、次から次へと売り逃げが連鎖し、パニック的に広がり、相場下落を加速させる展開が過去に何度も観察されてきました。

 2021年初めには、コロナ禍の超金融緩和がもたらした超金融相場は、終局でそれ相応の下落を免れまいとするのがメイン・シナリオでした。しかし、ワクチン接種の進捗、バイデン米政権の突飛な経済対策の発動を受け、最も大きな含み益を抱えていた超値がさグロース株群が、早くも2月に急反落(図2)。巨額含み益ポジションが早めに調整されて、相場暴落への圧力は部分的にせよガス抜きされたと言えるでしょう。

 来る金融相場の終幕は、そこまでの相場の再上昇の程度に応じた反落リスクが生じ得るものの、年初に懸念された相場下落の衝撃度に比べれば、かなり軽減化されているでしょう。

図2:超値がさグロース株ETFがいち早く下落

出所:Refinitiv

【Q3】金融相場を終わらせる引き金は何?

 金融相場を終わらせる直接のきっかけ要因は、言うまでもなく、金融政策の引き締め転換です。ただし今回、景気回復の不確実性、コロナ禍克服過程での一時的インフレ高伸の着地点の不透明感から、FRBも前例のない道を是々非々で進まざるを得ない状況です。

 政策転換のポイントは、FRB自身にも、市場にも見極めがつかず、疑心暗鬼の相場が折々に神経質に揺れ動く見込みです。疑心暗鬼は、相場自体に含み益という相場下落の動因が積み上がること、そこに雇用統計の増勢、過渡的インフレ一巡後の真性インフレの兆候がどのような巡り合わせになるかを警戒しています。

 なお、相場下落要因として新型コロナ変異株の蔓延(まんえん)リスクも無視できませんが、これは金融相場を終わらせる要因ではなく、景況・市況をひどく悪化させれば、金融緩和を再強化させるとして区別しています。