上海「科創板」への重複上場が支援材料、インセンティブスキーム導入もプラスに

現地コード 銘柄名
03898

株洲中車時代電気

(CRRCタイムズ・エレクトリック)

株価 情報種類

45.10HKD
(6/28現在)

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 鉄道向け電力制御システム大手の株洲中車時代電気は、上海証券取引所のハイテクイノベーション・ボード「科創板」へのA株上場に向けて申請を行っていたが、このほど中国証券監督管理委員会(CSRC)から承認を得た。同社株価はこのところ好調であり、4月以降、約50%反発したが、BOCIは引き続き、A株の重複上場計画が同社H株の支援材料になるとの見方。また、経営幹部向けのインセンティブスキームを導入したことも、株価押し上げに寄与するとみている。同社は半導体製造大手であり、IGBT(絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ:電源電力の制御や供給を担う半導体素子の一種)製品の第2生産ラインの稼働がこの先、電気自動車(EV)市場におけるシェア拡大を後押しする見込み。BOCIは収益見通しを据え置きながらも、目標算出ベースを2021年予想PER(株価収益率)「16.5倍」から「17.5倍」に引き上げ、目標株価を上方修正。株価の先行きに対して強気見通しを継続している。

 CSRCの承認を受け、「科創板」への上場は短期的に実現する見込み。コンポーネント製造大手として、A株市場では高バリュエーションを獲得するとみられ、これがH株の支援材料となる可能性が高い。

 BOCIによれば、中期的にはIGBT事業の成長期待が、主な支援材料となる見込み。生産能力2万4,000台の第2生産ラインは2021年末までに、正式に量産体制に入る運び。第1ラインが鉄道車両や送電網向けの高電圧タイプを生産するのに対し、第2ラインではEV向けの1800-1200V型を製造する。同社はEV市場の開拓に本腰を入れており、この分野での新規受注の伸びが期待できるという。

 一方、同社は経営幹部に約990万株を付与する内容のインセンティブスキームを導入した。このスキームは経営陣と株主の利益一致につながる点でプラス。BOCIは同社株価の支援材料と受け止めている。

 BOCIは売り上げ見通し、利益見通しを据え置きながらも、2021年予想PER17.5倍をあてはめて目標株価を引き上げ、株価の先行きに対する強気見通しを継続した。レーティング見直しにつながる可能性があるリスク要因としては、鉄道当局による車両調達ペースが予想より低水準にとどまる可能性を挙げている。