私は、トランプ政権の経済関係閣僚は史上最高のメンバーだと思っているので、当然このような傾向も熟知していると思います。そして恐らく、これまでの速い株式上昇ペースを心地良いものと思っておらず、出来れば抑え気味に行きたい、そしてそのような方針を取っていくのではないかと考えています。具体的には、市場の期待が高くなり過ぎたら抑え、好材料のペースが速くなったと見れば遅らせ、更には目下の好景気や株価上昇という「糊しろ」があるうちに、悪材料を出しておこうという考えも視野に入ってくるのではないかと思います。穿った見方をすれば、オバマケア見直しが先送りになったり、税制改革が遅れたり、軍事的に強硬姿勢を取るというのも、その一環と考えることもできます。

 4月第3週から本格化する米1-3月期決算はおよそ5年ぶりの高い増益率になる見通しです。確定申告期限という需給要因や、決算というファンダメルズ要因はいずれも株式相場のサポート材料です。もし4月、これらサポート材料に支えられて、この3月までと同様の速い上昇ペースが続くのであれば、私は「5月に売ってどこかへ行く」のが賢明だと考えています。というのはトランプ政権としては上記理由から、何らかの形で市場の過度な期待は抑えたいはずで、現状では株価が上がれば上がるほどその動機は強まっていくと考えられるからです。

 一方で、これまでの季節的傾向に反し、4月や5月が調整色の強い展開となるようであれば、年後半に向けて再び期待が持てるので「5月に売ってどこかへ行く」のはもったいない、ということになります。4月相場は調整から始まっているので6月から早々と夏休み入りできる可能性は低そうですが、今後1-3月期決算があまりに良いものになり、それに市場が素直に反応していくようだと、今年に関しては「5月に売ってどこかに行く」ことも考え始めないといけなくなるでしょう。但しユナイテッド航空以外で。

(2017年4月13日記)