10月3日
セメント平均価格が10週連続上昇、国慶節連休明けの価格維持がカギに

中国国内のセメント平均価格は9月26日-10月2日週に前週比3.8%高の1トン当たり283.4元となり、これで10週連続で上向きに推移した。前年同期比では11.65%高と、前週の同8.23%高から上昇ペースが加速した。中国のセメント価格動向は地域別に格差があるが、BOCIは華北、華東、中部、華南、南西部など広範なエリアで、同20-50元の価格上昇が見られたと指摘。その主因として、石炭調達費、輸送費などのコスト高を指摘した。うち輸送コストは貨物車の過積載規定の厳格化による影響で、100トンキロ(1トンのセメントを100km輸送した場合)当たり10-20元(35-50%)増大したという。一方、川下需要が緩やかな回復傾向を示しているにもかかわらず、一部地域の在庫レベルは生産再開などを受けて増大傾向にある。BOCIは国慶節(10月1日)連休後に値上げ後の価格レベルを執行できるかやや疑問視し、◇需要の回復◇石炭価格動向◇減産の行方――などがカギになるとみている。

9月26日週のセメント価格動向を地域別に見ると、華北では貨物車過積載規定の厳格化で北京市、天津市、河北省中部・南部の1トン当たり平均価格が前週比でそれぞれ50-60元、30元、30-40元上向いた。ただ、需要は北京で横ばい、天津や河北省で低調。一方、東北地区のセメント価格は依然低水準で横ばい推移しており、遼寧省の需要が依然低調。インフラプロジェクトの新規着工規模の縮小や地方の需要委縮を受け、生産量に対する出荷量の割合が40-50%にとどまったという。黒竜江省でも、出荷量の対生産比率は50-60%程度。東北部では冬場の価格上昇にも期待しにくい状況にある。

一方、東部のセメントおよびクリンカー価格は9月26日週に1トン当たり20-30元上昇。7月以来3度にわたる値上げで、累計上昇率が60-90元に達した。石炭コストが増大する中、採算性改善に向けた業界内の協調体制が寄与したという。ただ、BOCIによれば、市況回復を受けた小規模ラインの生産再開などで、在庫圧力はむしろ高まりつつある。実際、長江デルタのメーカー各社は在庫圧力に対処するため、10月に20%の減産を予定しており、国慶節連休明けに値上げ後の新価格を実際に適用できるかどうか見極める必要があるという。

このほか、中部・南部のセメント価格は引き続き上昇傾向にある。うち広東省の珠江デルタでは、高品質セメント、低品質セメント、クリンカー価格が直近週にそれぞれ1トン当たり30元、15元、20元上昇。8月末からの累計で30-50元の値上がりとなった。不動産開発やインフラ建設を受けた需要の増加や在庫縮小が背景。一方、四川省や重慶市などの南西部のセメント価格は、石炭調達コスト、輸送コストの高騰や前年実績の低さを背景に上昇。また、北西部でも上昇傾向がみられ、うち甘粛省では生産コスト高を背景に30元の値上がりとなった。