5月25日
予想より前倒しに7-9月期に原油需給均衡へ、CNOOCなどにプラス

BOCIが前回、原油セクターリポートを発表した3月9日以来、ICEブレント原油相場はさらに19%上向いたが、中国の石油メジャー各社のこの間の株価上昇率は限定的だった。5月の一時的な原油供給逼迫を受け、国際原油相場は6月にさらに上向く可能性があり、BOCIは7-9月に需給がほぼ均衡するとの見方。投資心理の改善を見込んで、CNOOC(00883)、ペトロチャイナ(00857)の株価の先行きに対する従来の中立見通しを強気に変更し、セクター全体に対する強気のレーティングを据え置いている。

カナダ、ナイジェリア、ベネズエラの予想外の減産を受け、国際原油市場では5月に一時的に供給逼迫感が高まった。カナダの山火事による影響はそう長くは続かないと見られるが、ナイジェリアとベネズエラに関しては武装グループによる襲撃や電力不足を受けた供給不安が当面続く見込み。場合によっては状況がさらに悪化する可能性がある。

イランは2-4月に原油日産量を50万バレル引き上げた。ただ、この先、日量の同水準の引き上げにはさらに長期を要する可能性が高い(BOCIは10カ月程度を予想)。

米エネルギー情報局(EIA)は米国の原油日産量が15年の940万バレルから16年には860万バレルに後退するとみている。シェールオイル業界の生産停止が理由。原油安と財務悪化を受け、15年からこれまでに少なくとも米石油会社77社が経営破綻した。

BOCIは上記の各ファクターを考慮した上で、世界石油市場の需給が16年7-9月期に均衡するとの見方(需給均衡は13年10-12月期以来)。これは当初予想より少なくとも6カ月ほど前倒しとなる。今後はエコフィスク油田(ブレント原油価格決定に関わる4油田のうち2番目に大きい油田)のメンテンナンスが、ブレント原油生産量の25%縮小につながるとみられ、6月の原油相場の一段高につながる可能性が高い。

BOCIは予想以上の原油相場回復を受け、ブレント原油の16-17年の価格を1バレル当たり45米ドル(修正前38米ドル)、51米ドル(同50米ドル)に上方修正した。

個別銘柄に目を向けると、川上の原油生産に特化しているCNOOCにとって、原油高は明らかにプラス。BOCIは16年の同社損益見通しを、これまでの30億元の赤字から約100億元の黒字予想に変更し、増配の可能性もあるとした。15年のコスト管理や原油探査における成果に言及し、同社株価の先行きに対して強気見通しに転じている。また、川上事業の比重が相対的に大きいペトロチャイナ(00857)に関しても同様に強気に転じ、16年下期の黒字化見通しを示した。一方、シノペック(00386)は川下の石油精製事業の比重が大きいが、BOCIは同社株価の先行きに対して強気見通しを継続している。シノペックにとって原油高はコスト増要因となるが、中国当局によるガソリン、軽油の価格調整を理由に、今後も高い利益水準を維持するとの見方。政府が進める石油製品の品質基準の厳格化もプラスとなる見通しを示している。