12月18日
米国の税控除延長が追い風、中国当局も支援策強化へ

米議会が12月16日、太陽光発電の投資税控除(ITC)の延長を採択した後、米NY市場ではカナディアン・ソーラーなどの関連銘柄が買われた。また、米議会は2015年末に期限を迎えるはずだった風力の生産税控除(PTC)を19年まで延長する方針も同時に決定しており、BOCIは米ゼネラル・エレクトリックを取引先とするギアボックス製造大手、中国高速伝動(00658)にも恩恵が及ぶとみている。再生可能エネルギーに対する政策動向の背景にはCOP21で採択されたパリ協定があり、BOCIは今回の税控除延長を最初の一歩と受けて止めている。中国においても国家発展改革委員会(NDRC)が再生可能エネルギー開発支援策の強化に動くと予想。個別では風力銘柄の華能新能源(00958)、新疆金風科技(02208)に対して強気見通しを維持した。「第13次5カ年計画」の風力設備の導入目標設定や、余剰電力買取制度(RPS)、稼働保証制度といった政策動向が両社の追い風になるとの見方。ただ、短期的な過剰感はすでに株価に織り込み済みとした。

米議会は今回、風力のPTC、太陽光発電のITCの延長を採択した。太陽光のITCは5年延長され、21年末が期限となる。控除率は現在、投資額の30%だが、この先段階的に縮小する見込み。一方、風力のPTCは今回の延長で、19年末までとなり、税控除額は段階的に縮小する運び。現在の物価調整後PTCは1kWh当たり2.2米セント。

一方、中国では17日の国務院常務会議で、李克強首相が新たに原子力発電4基の開発を承認した。防城港原発3号機、4号機(広西チワン族自治区)と田湾原発5号機、6号機(江蘇省)で、前者は中国広核集団(CGN)、後者は中国核工業集団公司(CNNC)に属する。うち防城港については国産第3世代技術「華龍1号」への切り替えを理由に年内の承認が見込まれていたが、田湾は第2世代型「M310アップグレード版」を採用しており、今回の承認は一種のサプライズ。BOCIは輸入第3世代技術「AP1000」や「EPR」を用いたプロジェクトの遅れから、国産技術を採用した新規プロジェクトの認可が続くと予想。次の認可対象は寧徳原発5号機、6号機(福建省)になるとみている。 中国の11月最新統計では、風力発電業界の設備稼働時間数は前年同月比22%減の138時間。最大手の龍源電力(00916)はセクター平均とほぼ同じ23%の落ち込みとなったが、時間数では国内平均を7%上回った。1-11月では国内全体の稼働時間数が前年同期比4.4%減で、発電量は同20.4%増。11月末時点の総容量は前年同期比16.2%増。 太陽光発電業界では11月も多結晶シリコン価格の下落傾向が続いた。BOCIは供給過剰感を理由に、15-16年も同価格の低迷が続くとみている。また、PVインサイツによれば、モジュール価格も直近週に再び下落に転じた。BOCIは価格を下支えできるほど、太陽光設備の据え付けラッシュに勢いはないとの見方。この先、太陽電池やウエハー価格にも下落トレンドが波及する可能性を指摘している。