2月3日
需要堅調で川下の乳製品市場を楽観、乳児用粉ミルクは競争激化が懸念材料

BOCIはこのほど、中国酪農・乳業セクターの専門家であるSong Liang氏を招いてセミナーを開催し、その後のリポートで川下の乳製品(主に液体牛乳)部門に対して相対的に強気の見通しを示した。需要の安定増やコスト軽減、競争環境の改善期待などが理由。また、川上の酪農部門に関しては、一部輸入制限が導入される可能性に言及し、原料乳価格が下げ止まる可能性を指摘している。一方、乳児用粉ミルク部門については競争激化に伴う利益率低下を懸念材料とし、慎重見通しを継続した。酪農・乳業セクター全体に対しては強気のレーティングを付与し、個別では中国蒙牛乳業(チャイナ・モンニュウ・デイリー:02319)をトップピックとしている。

中国国産の原料乳価格は現在、輸入物価格の1.4倍で、粉末原料乳の在庫処理は2015年末まで続く見込み。国内の原料乳価格は14年末の1kg当たり3.8元から、15年には3.0-3.2元へ15-20%下落する見通しという。ただ、Song氏は諸経費を除外した場合、この価格レベルはほぼ15年下期の国際相場(現在の約2.0元から2.7-2.8元への値上がりを予想)並みになると指摘。また、原料乳価格の値崩れを憂慮する中国当局がこの先、一部輸入制限に動く可能性があり、仮にそうなれば国内原料乳相場にプラスとの見方。長期的には国際価格の1.2倍前後が、国内価格の適正水準になるという。

Song氏によると、この先導入される見通しの輸入制限措置は、品質検査や規制が中心となるもよう。具体的には高温乾燥技術を用いた輸入粉ミルク(栄養価が低下する)や、製造日から6カ月以上経過した輸入UHT牛乳に対する規制、再構成ミルク(粉末を液体化したもの)に対する成分検査の実施――などが導入される可能性がある。 一方、中国国内の乳製品需要は堅調を維持するとみられ、15年の販売額は前年比10%増加する見込み。うち4%分は販売量の伸びによるもので、製品ミックスの優良化が残り6%分に寄与するという。販売量は主に中小都市部で伸びる見込み。大都市部ではプロバイオティクス飲料など、高付加価値製品の販売増が期待されるという。 14年には中小メーカーや食品メーカーが安価な輸入粉ミルクに切り替えたことで、急激に原料乳の供給過剰感が高まり、結果的に液体牛乳市場で価格競争が激化したが、Song氏は、原料乳の在庫処理が進むにつれ、液体牛乳市場の競争環境は落ち着くとの見方だ。一方、乳児用粉ミルクに関しては、ネット通販の普及に伴い輸入量が増加しており、この先さらに競争が激化する見込み。Song氏は大手メーカーによる低価格市場への参入を予想した上で、業界全体が現在の高利益率を維持するのは困難とみている。 BOCIは中国蒙牛乳業の安定感を前向きに評価し、株価の先行きに強気見通しを示している。ほかに川上の中国現代牧業(01117)に関しては輸入制限導入が追い風となる可能性を指摘し、同じく強気見通しを付与している。