1月15日
15年の乳製品市場を楽観、採算性向上で川下部門に強気見通し

BOCIは中国の乳製品販売量が2015年に再びプラス成長を回復すると予測し、同時に製品構成比の優良化を背景とした販売額の伸びが続くとみている。また、原材料コストの軟化を受け、乳製品メーカーの採算性が一段と改善するとの見方だ。一方、川上に当たる酪農部門の需要の先行きに関しては個別にまちまちとしながらも、15年半ばまでに原料乳の余剰在庫の消化が進むと予想。これに伴い原料乳価格が下げ止まるとみている。個別では引き続き、川下の中国蒙牛乳業(02319)をトップピックとしている。

中国の乳製品生産量は14年に前年並みにとどまり、有害物質メラミン混入事件が発覚した2008年に続き、ここ10年間で2番目に低調な1年となった。主に◇価格上昇を受けた需要の委縮、◇反汚職キャンペーンを受けたギフト需要、商品券需要の委縮――が背景。ただ、その後の値下げセールや前年実績の低さにより、15年には数量ベースでプラス成長を回復する見通しという。

14年には数量ベースで伸び悩んだとは言え、販売価格の上昇や高価格帯製品へのシフトにより、国内市場の売上高は10%台後半の伸びを達成した。消費者の健康志向の高まりを受け、BOCIは国産ハイエンド牛乳や輸入UHT牛乳、機能乳飲料といった高付加価値製品の需要が引き続き上向くとみている。

原料乳供給サイドに目を向けると、小規模牧畜業者の撤退や大手牧場の規模縮小により、国内の乳牛の数は15年も減少する見込み。また、原料乳パウダー輸入量は14年下期に減少した後、15年も前年並みで推移する見通しという。原料乳の余剰在庫は14年半ばに50万トンと、需要を4%上回る水準だったが、BOCIによると、14年末には原料乳余剰在庫の増大ペースに歯止めがかかり、年半ば並みで推移。15年半ばまでには余剰分が消化される可能性が高まった。中でも有力事業者は14年中に前倒しで消化したとみられるという。原料乳価格は過去2カ月にわたって予想以上のペースで下落したが、15年下期には下げ止まる可能性が高いという。 BOCIによると、15年も川下、川上部門が明暗を分ける可能性が高い。うち川下の乳製品メーカーの税引き前利益率は14年に6.5%と、ここ10年で最高レベルに達したが、15年には製品構成比の優良化や原材料価格の軟化を受け、採算性がさらに上向く見通しという。一方、川上の酪農業では原料乳価格の対飼料価格比が14年7月以降低下している。今のところヒストリカル平均値を上回る水準にあるものの、今後は同平均並みに低下する見込み。これに伴い15年の利益率の低下が予想されるという。 BOCIは中国蒙牛乳業をトップピックとしたが、これは需要増や利益率改善といった国内業界の好トレンドの恩恵を受けやすいことが理由。14-16年にそれぞれ前年比27%、14%、15%の利益成長を予測している。