11月26日
カジノ総収入は14-15年も安定成長持続、15年半ば以降に再び加速へ

マカオのカジノ総収入は2014-15年に安定成長を維持した後、新規施設が相次いで誕生する15年以降には再び成長ペースが加速する可能性が高い。BOCIによると、カジノ銘柄の業績は短期的に個別の施設規模や商品、ジャンケット(VIP世話人)コミッションなどに左右される見込み。新規施設の開業が当面見込めない中、各社の市場シェア変動がより鮮明になるとみられ、半島地区およびコタイ地区の双方にカジノ施設を置く銘柄が有望という。BOCIはカジノ銘柄の現在株価水準を理由に、短期的にはセクター全体の魅力に欠けるとしながらも、業績上振れの可能性が相対的に高い銘柄を選好。サンズ・チャイナ(01928)、銀河娯楽(00027)に対して強気見通しを明らかにしている。

マカオのカジノ総収入は13年1-10月に前年同期比18.1%増の3250億パタカと、BOCIの通年予想(前年比16.3%増)を上回るペースで推移している。14年、15年のカジノ総収入に関する予想値はそれぞれ前年比15.2%増の4130億パタカ、14.3%増の4720億パタカ。新規カジノの開業時期(15年半ば)を迎えるまでの向こう2年間、やや減速しつつも安定成長を維持する見通しという。

うちVIP部門のカジノ収入については、各カジノの誘致策を背景に14年、15年にいずれも前年比11%増の2630億パタカ、2920億パタカに達するとの見方。14年上期には中国本土での不動産投資の資産創出効果に対する不透明感がVIP収入に影響する可能性を指摘しながらも、15年下期には『ギャラクシーマカオ』2期の開業が同収入の押し上げに寄与するとみている。また、一般客部門のカジノ収入は14年、15年に前年比27.7%増の1340億パタカ、20.4%増の1620億パタカに達する見込み。一般客部門についても15年以降の伸び率加速を予想している。

一方、14年のカジノ市場について、BOCIは銘柄別の市場シェアの変動に加え、以下のような予測を明らかにしている。◇ホールドレート(カジノ側の取り分)ではなく、総収入の伸びが個別銘柄の主要業績指標となる◇これまで上昇してきた一般客向けテーブルの最低賭け金レベルがほぼ頭打ちとなる◇コタイ地区にカジノを持たない銘柄のEBITDAおよび利益率は施設上の制約から伸び悩む――。

11月半ばに開業した橫琴島のテーマパーク長隆(Chimelong)は出足から好調。今後は14年半ばにタイパ地区のフェリーターミナルが稼動を開始する。これに伴い、今のところ半島地区に限られている旅行者のエントリーポイントが多様化する見込み。この点でも、コタイ地区にカジノを置く銘柄に有利となる。

BOCIは大半のカジノ銘柄の株価が14年予想ベースでほぼピーク水準に達したとみて、セクター全体に対して中立的な見方を示しているが、14年には個別の業績格差がより鮮明になると予想。半島およびコタイに施設を置く大手を有力視している。