11月6日
原油輸入や輸送部門で“改革”進行か、既存銘柄への影響は当面限定的

中国エネルギー業界では最近、「改革」に関する提案が相次いでおり、11月に開かれる三中全会(共産党第18期中央委員会第3回全体会議)においても同改革の行方が焦点の一つとなっている。BOCIはこの先実施される可能性がある3つの改革を挙げ、既存上場銘柄への影響などを分析している。

改革案の一つは原油輸入業務の開放。原油輸入権を持つ企業は現在、シノペック・グループ、中国石油天然ガス集団(CNPC)、中国海洋石油総公司(CNOOC)、珠海振戎(Zhuhai Zhenrong)、中国中化集団(Sinochem)の5社に限られ、結果的にシノペック、CNPC、CNOOCなどの国内メジャーが石油精製市場を寡占している。ただ、現地報道によれば、国家エネルギー局はこのほど、輸入権の追加発給をにらみ、「資格要件」に関する諮問案を取りまとめたという。それによると、新規の輸入割当を申請するための要件は、1次加工プラントの年産能力が500万トン以上、2次プラントが同300トン以上、3次プラントが同400トン以上。中でも3次プラントに関する要件が厳しく、現時点で要件を満たす民間企業は存在しないという。ただ、実際に数社が14年の輸入割当を申請したとの情報もあり、BOCIは最終的に要件が緩和される可能性に言及している。一方、輸入市場の開放による既存銘柄への影響について、BOCIは「当面限定的」との見方。シノペック(00386)と、ペトロチャイナ(00857)の親会社CNPCが精製市場で各48%、32%のシェア(12年)を握る現状を指摘し、民間企業は今後、2大メジャーを相手に不利な戦いを強いられるとみている。

第2の案は、国内石油メジャーが寡占している石油・天然ガス輸送パイプラインの開放。中でもCNPCが長距離輸送ラインの7割を掌握しており、コールベッドメタン(CBM)やシェールガスを含むその他生産者は自前の輸送ラインの建設が必要となるが、国家発展改革委員会は8月、輸送インフラの建設・運営に関する諮問案を策定。既存パイプラインの余剰能力を第三者に貸し出す方法を探り始めた。BOCIは既存ラインの保有企業が「フル稼働」などを理由に貸し出しを拒むとして、「既存施設の開放は実際には困難」との見方。まずは実際の稼動状況を把握するための方法の確立などが不可欠とした。ただ、仮に開放が実現すれば、主に中国油気(00702)などの事業機会につながる見込み。一方、中国は原油・天然ガスの大量輸入を必要としており、BOCIは「輸送市場が開放されてもCNPCや子会社ペトロチャイナへのマイナスの影響は軽微」とみている。

もう一つ可能性がある改革分野は川上の石油・ガス探査だが、BOCIは主にコスト面から新規参入障壁の高さを指摘。独立系第三者としては国内メジャーとの共同開発を通じた参入が最も現実的とみている。仮にそうなれば、MIEホールディングス(01555)、安東油田服務(03337)、さらに外資系企業の事業機会につながる見通しという。