8月9日
短期的な原油高止まりを予想、国内の天然ガス値上げなども追い風に

国際原油相場は7月初旬からエジプト情勢の緊迫化を背景に上昇しており、BOCIは短期的な高止まりを予想している。一方、中国国内では「石油製品の価格決定メカニズム」が改定されたことで、石油精製部門はたとえ原油相場が上昇しても、従来より高い利益水準を確保できる見通し。また、7月に実施された天然ガス価格の引き上げがガス生産・供給部門の利益を押し上げる見込み。BOCIはこうした要因が石油各社の2013年7-9月期の好決算につながると予想。セクター全体に対して強気見通しを継続している。

原油相場は4-6月期に予想以上に低迷したが、ICE(インターンコンチネンタル取引所)のブレント原油価格は7月に1バレル当たり109米ドルと、4カ月ぶり高値を回復した。BOCIはエジプトの騒乱が短期的に収束するめどは立たないとみて、当面の原油相場の高止まりを予想。ブレント原油相場に関する13年の予想値を108.6米ドルから108.0米ドルへやや引き下げる半面、14年については101.5米ドルから102.9米ドルに上方修正した。

中国の国家発展改革委員会は3月後半、長く待望されてきた「石油製品の価格決定メカニズム」の見直しを実施し、これまで「22営業日ごとに原油相場が4%上下した場合」と規定していた価格調整サイクルを「10営業日」に短縮し、4%との要件を取り消した(1トン当たり50元以下にとどまる場合は価格調整見送り)。これにより、石油製品価格がより密接に原油相場と連動する形となり、石油精製部門は原油相場の上昇局面でより高い利益率を確保することが可能となった。

国家発展改革委員会はまた、非住宅向けの天然ガス価格を7月10日付で1立方メートル当たり平均0.26元引き上げており、これはペトロチャイナ(00857)をはじめとする天然ガス生産者に有利。同委員会はこの先2015年までに、より全面的なガス価格値上げに踏み切る方針とされており、BOCIによると、国内の大半のエリアで同0.88元の値上げが行われる可能性が高い。

石油関連銘柄の13年6月中間決算は個別に明暗を分けるとみられ、総合石油銘柄が収益成長を達成する一方、純探査・採掘銘柄が減益となる見通し。ただ、7-9月期には◇原油相場の上昇◇石油精製事業の利益率改善◇天然ガス価格の値上げ――などが全面的に石油銘柄の利益成長を支える見通しという。BOCIは原油相場の急落やそれに伴う石油製品価格の急落などを潜在的なリスク要因に挙げながらも、自社がカバーする香港上場の全石油銘柄が13年予想PER10倍以下の水準で取引されていると指摘。セクター全体に対する強気見通しを継続した。トップピック銘柄はペトロチャイナ。過去2年にわたって減益決算が続いた後、13年には天然ガス値上げと中国西部の油ガスパイプラインの権益売却益を支えにかなりの大幅増益を達成するとみている。