7月18日
TD-LTEが世界で主流に、中国メーカーへの恩恵を見込む

BOCIの独自調査によれば、世界中ですでに104のTD-LTEライセンスが発行されている(5月末時点)。TD-LTEに認可された周波帯は今後商用サービスに利用される見通し。FDDとの関係については、競合よりも共存が業界の一般的な見方で、TDDとFDDの融合が今後の傾向になるとみられている。BOCIはTD-LTEがアジア太平洋、米国、中東の各市場の主要ネットワークになり、世界シェアの3分の1を占めると予想。TD-LTEでは中国メーカーが優位にあるとみて、中国通信機器セクターに対する見方を「オーバーウエート」に据え置いている。

世界中の通信キャリアが4Gネットワークの導入を加速。米国、日本、韓国がパイオニアだが、2013年は中国および欧州市場で本格的に広がり、インドなど新興市場でも14年までに大規模なスケールで導入が始まる見通しだ。このため、通信機器メーカー、特に中国メーカーにとって、大きなビジネスチャンスの到来が見込まれる。

中国では、チャイナ・モバイル(00941)が20万の基地局設置など、TD-LTE対応のインフラ整備を加速している。メディアの報道によれば、同社は4Gライセンスの取得に向けすでに通信機器を調達し、多くの都市でTD-LTEネットワークへのアップグレードを実施。当局の4Gライセンス発行時期は9月頃になるとBOCIは見込んでいる。中国での4G本格導入に向け、欧州メーカーも市場シェア確保に躍起になっているが、BOCIは中興通訊(00763)および華為科技が国内TD-LTE市場の50%を確保すると予想している。

FDD-LTEはWCDMAからのアップグレードとなるため、現在のところ海外市場におけるキャリアのシェアに変動はみられないが、将来的にはデータ通信量の増加に伴いFDD-LTEの限られた周波帯が問題となり、上りと下りで2つの周波帯を必要としないTD-LTEの魅力が増すとみられる。FDDとTDDのデュアル方式の採用により、TD-LTEはいずれ世界市場の3分の1のシェアを占める見通しで、中国の通信機器メーカーはこの恩恵を享受することになる。

調査会社iSuppliの予想によれば、世界の携帯通信機器市場は16年までに5709億米ドルに達するという。LTEは同市場成長の牽引役であり、中興通訊および華為にとってビジネスチャンスの到来。さらに、無線ブロードバンドへの設備投資は、烽火通信科技(600498)、武漢光迅科技(002281)、京信通信系統控股有限公司(002342)などの機器メーカーにも恩恵が及ぶ見通し。BOCIはTD-LTE機器ベンダー大手の中興通訊をセクターのトップピックに推奨。リスク要因には、一部メーカーの13年6月中間決算が不振だった場合の株価への影響を挙げている