6月21日
電気料金値下げ観測が電力銘柄の重し、発電設備銘柄はファンダメンタルズ改善へ

中国の電力事業者(IPP)は過去12カ月にわたって好決算を達成してきたが、BOCIは石炭価格が横ばい推移する中、年末までに電気料金値下げが行われる見通しに言及し、電力銘柄の株価の重しとなる可能性を指摘している。一方、発電設備セクターについては、火力発電投資の回復や原発開発の加速、さらにガスタービン需要の好調、海外市場の需要回復見通しなどが追い風になるとの見方。現時点では設備銘柄が過小評価されているとし、個別ではファンダメンタルズが健全で、現在株価が相対的に低水準にある銘柄に目を向けるよう勧めている。

BOCIは坑口価格、秦皇島(国内最大の石炭積み出し港)価格に関して現行水準の維持を見込むなど、石炭相場がほぼ横ばい推移すると予想。電力銘柄の単位燃料コストは2013年に前年比7-9%低下した後、14-15年には前年並みで推移するとみている。その半面、政府当局は今後、電力卸売価格の引き下げに動く見込み。地方政府が生産活動の支援に向けて値下げを申請する中、国家発展改革委員会(NDRC)は12年末に発表した「石炭価格連動型の電気料金決定メカニズム」を見直す可能性があるという。BOCIは年末までの値下げを予想し、電力卸売価格が14年に前年比平均3-4%低下するとみている。

BOCIは電力銘柄に関して複数のシナリオを検討した上で、「電力卸売価格が引き下げられる半面、石炭価格は緩やかに上向く」可能性がかなり高いとの見方。前年の石炭価格の下落を受けて電力値下げが実施された後、石炭価格が再び上向くとなれば、電力銘柄の業績下振れリスクが高まるとしている。こうした要因から、BOCIは投資心理の後退に伴う調整リスクを指摘。電力セクター全体に対する中立見通しを継続し、銘柄選別の必要性に言及している。

一方、発電設備セクターについてはファンダメンタルズの改善を予想している。電力各社の収益性回復に伴い、火力発電設備需要の回復が見込まれることが理由の一つ。原材料価格の低下や製品構成の改善により、利益率も安定推移する見通しという。また、11年の福島第一原発事故を受けて停滞していた中国の原発開発プロジェクトはこの先、正常化するとの見方。2015年、20年の目標達成に向け、原発開発が今後加速する公算を指摘し、長期目標が上方修正される可能性もあるとみている。さらに、ガスタービン需要の好調や海外需要の回復見通しも設備銘柄の支援材料。BOCIはセクター全体に対して強気の見通しを継続している。

なお、個別では東方電気(01072)、中国電力国際(02380)の株価の先行きに対して強気の見方。華能国際電力(00902)、華電国際電力(01071)に関しては慎重見通しを明らかにしている。