6月6日
百貨店市況に改善みられず、ネット通販普及が長期的な脅威に

BOCIは各社経営陣や現地店舗に対するリサーチを実施した結果、百貨店部門では今のところ、消費者心理に改善傾向は見られないと指摘した。4月には国際金相場の下落を受けた金消費の急増が既存店売り上げ伸び率(SSSG)を5ポイント程度底上げしたもの、この効果は長くは続かないと予想。その他商品のSSSGが1桁台にとどまっていることに言及している。また、インターネット通販が長期的な脅威となる中、百貨店銘柄の再評価には期待しにくいとし、セクター全体に対して中立的な見方を明らかにした。個別では新店舗の赤字見通しなどを理由に、銀泰百貨(01833)に対する見方を中立的に引き下げる一方、現在株価水準や利益上振れ期待から、茂業国際(00848)に対して強気の見方を継続している。

4月には金消費が急増し、郊外型店舗、市街地店舗における貴金属・宝飾品売り上げはそれぞれ、売上高全体の20%以上、10%以上を占めた。BOCIは結婚祝いの贈り物としての貴金属需要に関して安定推移を見込みながらも、金相場が上昇傾向に転じない限り、投資目的の金消費はそう長くは続かないとの見方。13年下期および14年には貴金属・宝飾品売り上げが減速するとみている。

アパレル販売部門では一部ブランド品価格が前年同期比20-30%値下がりしており、短期的には中価格・高価格帯を中心にアパレル製品の値下がりが続く見通しという。若年層向けカジュアルはメンズやシニア向けに比べて相対的に好調ながらも、全体では販売量も低水準で推移しており、BOCIは13年、14年のアパレル部門のSSSGが1桁台の伸びにとどまると予測している。

一方、百貨店の主要顧客層は35歳以上の女性に偏りつつあり、1980-90年代生まれの若いホワイトカラーは、より低価格のネット通販を利用する傾向を強めている。BOCIによれば、中級百貨店の取扱い製品の約3割は淘宝などのネット通販サイトで40-45%割安で販売されているのが現状。高級百貨店に関しては、短期的にネット通販との直接的な競争は限られるとしながらも、若年層の購買習慣の変化や購買力の向上を理由に、この先の影響に対して慎重見通しを示している。

個別銘柄を見ると、金鷹商貿集団(03308)およびパークソン(03368)のSSSGは1-5月時点で、経営陣が示した13年通期予想を下回るペース。華地国際(01700)および銀泰百貨の同期SSSGは経営陣が示した通期予想をやや上回った。茂業国際の同期SSSGは予想の下限ながらも、第1四半期、4月、5月と改善傾向を示している。BOCIはうち銀泰百貨について、積極的な出店戦略や新規店舗の赤字見通しを理由に、13-15年の予想コア利益を1%、6%、10%下方修正。一方、金鷹商貿集団と華地国際に関しては、出店ペースの抑制に伴う新店舗赤字の縮小を見込んでいる。