【今日のまとめ】
- IMFの第4条年次協議報告書が発表された
- IMFは今年の中国のGDP成長率を6.6%と見ている
- 消費主導型経済への移行は進行中である
- 金融市場は引き続き問題を抱えている
- 経常収支は黒字だが資本逃避により外貨準備は減っている
国際通貨基金が中国との第4条年次協議報告書を発表
国際通貨基金(IMF)が中国との第4条年次協議を終え、その報告書を発表しました。年次協議報告書はIMF加盟国の経済の近況を知ることのできる権威的な情報ソースのひとつです。
GDP
8月12日に発表された第4条年次協議報告書によると中国経済は2015年に6.9%の成長を記録した後、今年の成長率は6.6%に下がると予想されています。
GDP成長予想が下がる原因として民間投資の減速、ならびに外需の低迷が指摘されています。
消費主導型経済へ
中国はこれまでの投資偏重型の経済から消費主導型の経済へとシフトしている最中です。それは順調に進んでいます。一例として最終消費支出は今年のGDP成長率のうち3分の2を稼ぎ出すと見られています。
消費者物価指数は安定的に推移しています。
今回の利下げサイクルで政策金利が5回利下げされたことで、信用成長は拡大に転じています。
中国政府の新しい5か年計画(2016年~20年)では、消費の拡大、サービス・セクターの拡充、環境保全、一段と踏み込んだ経済の開放、公共サービスの拡大、貧困を減らすなど、経済のリバランスを念頭に置いた計画が打ち出されました。
同様に、政府系企業の改革ならびに石炭・鉄鋼セクターの過剰設備の解消(=向こう3~5年で10~15%)と、それによって生じる180万人の労働者の再就職先を作る事が打ち出されています。しかし政府系企業の改革については具体的な内容に乏しかったです。
金融市場の問題
金融市場のガバナンスには引き続き問題があります。
信用は急速に膨張しており、昔と同じGDP成長率を出すために必要な信用の投入額はどんどん大きくなっています。
経常収支、外貨準備
中国は経常収支の黒字を保っています。
それにもかかわらず資本は経常黒字を上回るペースで海外に逃避しています。
このため外貨準備は減りつつあります。
資本逃避が起こった原因として、1)目先は人民元ベースの資産より海外の資産の方が高いリターンが期待されること、2)中期的な中国経済の成長見通しが不透明になったこと、などが挙げられるとしています。