【今日のまとめ】

  • 米国の住宅着工件数は着実に回復しつつある
  • マスコは蛇口、キッチンキャビネットなどを作っている
  • モーホーク・インダストリーズはカーペットや床材のメーカー
  • アームストロング・ワールド・インダストリーズは天井などの製品を作っている
  • ビーコン・ルーフィング・サプライは屋根を葺く材料の卸売業者
  • イーグル・マテリアルズはセメントや石膏のサプライヤー

米国の住宅着工は上昇トレンドへ

米国の住宅着工件数はリーマンショック以降、落ち込んでいましたが、ここへきて順調に回復しつつあります。

この背景には失業率の低下に代表される雇用市場の回復、住宅ローン金利が低いことなどが挙げられます。

長引く不景気でこれまでマイホームの購入を控えていたミレニアル世代(15~35歳)が、今後、はじめてのマイホーム市場に参入してくることも予想されます。

これらの事から住宅建設資材・内装セクターは当分の間、好況が予想されます。

マスコ

マスコ(ティッカーシンボル:MAS)は蛇口、シャワー、キッチンキャビネット、窓枠、ペイントなどの製品を作っています。

上のグラフ中、断熱材は製品だけでなくそれを実際に建築現場で壁に埋め込む役務への対価も含んでいます。

同社の売上高の8割は米国で、残りの2割は主に欧州です。

同社の売上高の27%がホーム・デポ(ティッカーシンボル:HD)を経由した売上となっています。従って、ホーム・デポがマスコの製品ではなくライバル企業の製品をプッシュするようになると同社の売上高に悪影響が出る可能性があります。

マスコの一株当たりの業績は下のようになっています。

【略号の説明】
DPS 一株当たり配当
EPS 一株当たり利益
CFPS 一株当たり営業キャッシュフロー
SPS 一株当たり売上高

モーホーク・インダストリーズ

モーホーク・インダストリーズ(ティッカーシンボル:MHK)はカーペットならびにタイル、木目、ラミネートなどの床材のメーカーです。

同社は上記のそれぞれの分野でNo.1かNo.2です。

同社はジョージア州に垂直統合されたカーペット工場を持っています。

アームストロング・ワールド・インダストリーズ

アームストロング・ワールド・インダストリーズ(ティッカーシンボル:AWI)は天井や床材のメーカーです。

同社はオフィスをはじめとする商業施設と住宅の両方に製品を提供しています。その関係で同社の業績は商業用不動産の景気に大きく左右されます。

とりわけ天井向けの製品が同社の利益の中心となっています。欧州の床材事業は2014年に売却しました。

同社は米国の他にカナダ、英国、フランス、ドイツ、オーストリア、ロシア、オーストラリア、中国に製造拠点を持っています。

同社は2016年の第1四半期をメドに床材のビジネスをスピンオフする予定です。

ビーコン・ルーフィング・サプライ

ビーコン・ルーフィング・サプライ(ティッカーシンボル:BECN)は屋根を葺くためのタイル、アスファルト、スレートなどを扱っているディストリビューターです。この市場は細分化されており、地域色が強いです。ビーコン・ルーフィング・サプライはそれぞれの地域のブランドを買収し、主に米国東部を中心としてリーダー的な存在となっています。

ルーフィング市場は6割が住宅、4割がビルや倉庫などの商業施設です。またルーフィング需要の8割は新築ではなく、古い屋根の修理から発生しています。米国の住宅は平均すると建設されてから37年経っており、その多くが屋根の葺き替えを必要としています。

通常、屋根の葺き替えは雨漏りが見つかった場合などになされる場合が多く、待った無しの支出です。

同社は卸売りという性格上、利幅は小さいです。

イーグル・マテリアルズ

イーグル・マテリアルズ(ティッカーシンボル:EXP)はセメント、石膏、コンクリート、砂利など建設に使用される素材を提供しています。同社はまたシェール開発の際、油井に注入される特殊な砂も提供しています。

同社は業界で最もロー・コストな生産者として知られています。このため常に収益性では業界のトップを走っています。

セメントの需要は公共工事などに敏感です。

米国の高速道路は老朽化が目立っています。リーマンショック以降、地方政府の予算が圧迫を受けていた関係で高速道路建設も低迷していましたが、最近ようやくそれが戻って来つつあります。

シェール向けのビジネスは原油価格の下落で見通しは暗いですが、全体に占める割合は6%に過ぎないため、余り心配する必要は無いと思います。

同社の決算は3月〆です。