facebook twitter
中国経済の近況
広瀬 隆雄
わかりやすいグローバル投資レポート
グローバル投資に精通する広瀬隆雄氏に、新興国株式だけでなく、米国株、欧州株をはじめとする先進国株式など、海外全般の経済や投資ストラテジーをご紹介いただきます。

中国経済の近況

2015/8/18
最近の中国経済を巡る最大のニュースは人民元が切り下げられたことだと思います。
facebook twitter メールで送る 印刷

【今日のまとめ】

  • 人民元が3%切り下げられた
  • 輸出不振による労働争議の頻発が背景にある
  • IMFの特別引出権の準備通貨に人民元を加えることは、ほぼ確実になった
  • 輸出が息を吹き返し、ストライキが減るまでは人民元の切り下げは続く
  • 中国経済の鈍化で世界経済は推力を失った
  • このタイミングでFRBが利上げすると、ぶちこわしになる

人民元が切り下げられた

最近の中国経済を巡る最大のニュースは人民元が切り下げられたことだと思います。

切り下げ幅は3%です。

輸出不振が切り下げの原因

中国が人民元の切り下げに踏み切った背景には、輸出の不振があります。7月の輸出は-8.3%でした。

ドル高が中国の輸出不振を招いた

米国が量的緩和政策を止め、利上げを視野に入れはじめたことで、去年からこのかた、ドル高基調が続いてきました。

そのことは、人民元もドルにペッグされていることから、実質的な人民元高を意味します。

人民元が他のアジア通貨に比べて強くなり過ぎたことが輸出の不振の一因だったのです。

輸出不振はストライキの増加を招いた

こうした輸出の不振は、広東省を中心とする中国の製造業の拠点における景気減速を招きました。輸出業者の中には資金繰りに困り、従業員への給与の支払いが滞る事例が出ています。

これに対して従業員はストライキにより抗議しています。

中国政府はストライキの頻発を憂慮しています。今回、速やかな人民元の切り下げが実行されたひとつの理由はこれです。

IMFの準備通貨に人民元が加わる

人民元切り下げのもうひとつの動機は国際通貨基金(IMF)の特別引出権(SDR)の準備通貨に、人民元も加えて欲しいということを、中国政府がIMFに対して働きかけていることが原因です。

IMFは大筋としてSDR準備通貨への人民元の採用に賛成の立場を示していますが、条件として人民元を米ドルにペッグすることをやめるべきだとアドバイスしています。

このアドバイスを中国が受け入れ、人民元を切り下げたことで、SDR準備通貨への人民元の採用は、ほぼ確実となりました。

今後の人民元のレートですが、輸出が調子を取り戻し、ストライキが鎮静化しなければ、再度、もう一段の切り下げが行われる可能性も強いです。なぜなら国内の民心を安定させることは中国政府が最も気を配っていることだからです。

世界経済はスローダウンする

中国経済の成長が鈍ってきていることは、世界に影響を及ぼします。なぜなら世界のGDP成長に対する寄与度としては中国が36%を占め、最も貢献しているからです。

このことは今後、世界のGDP成長予想は下がってくることを意味します。実際、米国を除けば、世界は再びリセッションと紙一重のところまで追いつめられていると言っても過言ではありません。原油価格をはじめとするコモディティ価格が急落し、米国債が買われているのは、いずれも景気後退リスクを反映する動きに他なりません。

米国の利上げは世界の流れに逆行

さて、米国では9月か12月に政策金利であるフェデラルファンズ・レートが引き上げられると見られています。

これはアメリカ国内だけの文脈で見れば正しい金利政策なのかも知れませんが、上で述べたような世界の文脈からすれば「空気が読めてない」行為です。

リーマンショック以降、新興国は米ドル建ての借金をずいぶん増やしました。

すでにこのところの人民元の切り下げで新興国通貨は荒れ模様となっています。新興国通貨の下落は米ドル建ての借金の返済負担が雪だるま式に増えることを意味し、これは大きな潜在リスクになります。

そのようなタイミングで米国の連邦準備制度理事会(FRB)が金融引締めを決めると、世界の金融市場は相当荒れることが予想されます。

兎に角、米国と中国という世界で第1位と第2位の経済が、金融政策の面で真逆の事をやろうとしているというのは大変居心地の悪い状況であり、イベント・リスクは極めて高いと言えます。

【この記事に対するアンケート回答はこちらから】

トウシルのオススメ記事

▲トウシルトップページへ

 

2018年9月株主優待祭
NISAつみたてNISAロールオーバー
トウシル1周年特集
このレポートについてご意見・ご感想をお聞かせください中国経済の近況

本コンテンツは情報の提供を目的としており、投資その他の行動を勧誘する目的で、作成したものではありません。銘柄の選択、売買価格等の投資の最終決定は、お客様ご自身でご判断いただきますようお願いいたします。本コンテンツの情報は、弊社が信頼できると判断した情報源から入手したものですが、その情報源の確実性を保証したものではありません。本コンテンツの記載内容に関するご質問・ご照会等には一切お答え致しかねますので予めご了承お願い致します。また、本コンテンツの記載内容は、予告なしに変更することがあります。

記事についてのアンケート回答確認

中国経済の近況

今回のレポートはいかがでしたか?
コメント
2018年9月株主優待
 
お宝優待株
 
投資の日
 
10万円株
人気記事ランキング
デイリー週間月間
NISAつみたてNISAロールオーバー
 
投資の失敗
 
人気ブロガー
 
トウシル1周年特集
老後破綻
 
動画でわかる
 
美白YouTuberが紹介!無理なくカンタンな貯蓄術のススメ
 
ふるさと納税
メールマガジン

直近1日の記事を配信します

配信:平日毎営業日配信
祝日・GW・夏季/冬季休暇 を除く

公式SNS

タイムリーな情報を
ゲットできます

配信:記事配信時 随時
facebookおよびTwitterには一部配信しない記事もあります

TOP
×
トウシル メールマガジン および SNSについて
メールマガジン 申込み

トウシルメールマガジンではレポートやコンテンツ等、直近1日の記事をお知らせします。
本メールは配信希望のお客様に平日毎日お届けしております。
リアルタイムでの情報取得は、公式SNS(facebook、twitter)もあわせてご利用ください。

  • 「メールマガジン 選択/受付」画面から購読を選択できます。
  • 楽天証券のメルマガをすでに配信希望にされている方は、
    初期設定としては購読申し込みとなっている場合があります。
  • メールマガジン購読申し込みには、楽天証券会員登録(口座開設)が必要となります。
Gmailサービスをご利用の方へ
メールマガジンを受信時正しく表示されないことがございます。あらかじめご了承ください。
メールマガジン サンプル
メールマガジンサンプル
  • 「メールマガジン 選択/受付」画面から購読を選択できます。
  • 楽天証券のメルマガをすでに配信希望にされている方は、
    初期設定としては購読申し込みとなっている場合があります。
  • メールマガジン購読申し込みには、楽天証券会員登録(口座開設)が必要となります。
Gmailサービスをご利用の方へ
メールマガジンを受信時正しく表示されないことがございます。あらかじめご了承ください。