【今日のまとめ】
- ゴープロはバーチャル・リアリティ関連商品の開発を急いでいる
- テイザー・インターナショナルは警察パトロール用ウェアラブルカメラを出している
- アップルはApple Watchでウェアラブルに参入した
- アンダーアーマーはコネクテッド・フィットネスを買収した
- グーグルはグーグル・グラスでウェアラブルの先鞭をつけた
- フィットビットはフィットネス向けウェアラブルのリーダー
ウェアラブルとは?
ウェアラブル(Wearable)とは、衣服やアクセサリーに組み込まれることで、心地よく身にまとうことができるコンピュータを指します。
ウェアラブルには、その目的によって、様々な形状があります。アップル・ウォッチのような腕時計型、フィットビットのようなリストバンド型、ゴープロのようにエクストリーム・スポーツをする際、自分のヘルメットに装着する場合もあります。その他、腰のベルトに装着するクリップ型、グーグル・グラスのようなメガネ型、コンタクトレンズ型、補聴器型、ヘッドバンド型、ジュエリー型などです。
ウェアラブルの入力方法も千差万別です。指先のタッチ入力のほか、グーグル・グラスのような音声によるコマンド入力、バイオセンサーやスキャン入力、振動を感知する入力方法などです。
最近はSNSを通じて、自分の日々の暮らしを、家族や友人とシェアすることが一般化しています。このため生活記録(ライフログ)の一環として、ウェアラブルデバイスで取得したデータをウェブにUPすることが流行っています。
ゴープロ
ゴープロ(ティッカーシンボル:GPRO)はウェアラブル・アクションカメラのメーカーです。同社は元サーファーのニック・ウッドマンによって創業されました。エクストリーム・スポーツを楽しむアスリートが、本人の視点からそのスポーツの醍醐味をキャプチャするというのがゴープロのコンセプトです。
スカイダイビングなどの激しいスポーツをやっている最中に動画を撮るわけですから、ファインダーを覗いて被写体を確かめる余裕はありません。このためゴープロは広角レンズを採用しています。
同社は新規株式公開して以来、全ての決算で市場予想を上回って来ました。先に発表された第1四半期決算も、EPS予想18¢に対し24¢、売上高予想3.41億ドルに対し3.63億ドルと良い内容でした。売上成長率は前年比+54.1%でした。
ゴープロのグロスマージンは45.2%で、これはアップルより高いです。つまり急成長しているだけでなく、しっかり儲かっている会社なのです。
ゴープロは最近、バーチャル・リアリティ(VR)に力を入れています。VR動画編集ソフトを開発するほか、ドローンに装着してVR画像を撮るシステムを発表しています。最近、フェイスブックやグーグルはバーチャル・リアリティを楽しむためのデバイスの開発に力を入れていますが、ゴープロの場合、そのコンテンツにあたる動画をキャプチャするためのシステムに力を入れているのです。いずれVRという切り口からゴープロ株が再評価される日も近いと思います。
テイザー・インターナショナル
テイザー・インターナショナル(ティッカーシンボル:TASR)はスタンガンや警察パトロール用ウェアラブルカメラのメーカーです。
同社の元々の主力商品はスタンガンでした。スタンガンは拳銃に似た形状をしています。その内部で高電圧を発生させ、相手にワイヤー針を打ち込み、電流を流すことで体の自由を奪います。
しかし最近、同社がにわかに注目を集めている理由は、アメリカの警察官がパトロールをするときに市民に対して暴力をふるうケースが頻発しており、警察官の素行を矯正し、訴訟になったときに動画をプレイバックすることで誰が悪かったのかをハッキリさせるためにウェアラブルカメラの装着を義務付ける動きが出ていることによります。
ケンブリッジ大学の調査では警察パトロール用ウェアラブルカメラを装着した警察官に対する市民からの苦情は-87.5%も減りました。これは自分の行動が録画されているので、警察官が手荒な真似をしなくなったことによります。
テイザー・インターナショナルの警察パトロール用ウェアラブルカメラは「AXON」というブランドネームです。このデバイスでキャプチャした動画は「エビデンス・ドットコム」と呼ばれるクラウド・ストレージに収納され、必要に応じて再生されます。
現在のところウェアラブルカメラがテイザー・インターナショナルの売上高に占める割合は11%に過ぎません。しかしこちらの方がスタンガンより高い成長を見せているため、将来はウェアラブルカメラの比率が上昇すると思われます。
2014年の販売実績はサングラスの形をした「AXON Flex」が1万台(単価は599ドル)、ベルトに装着し動画をストリーミングする「AXON body」が1万3千台(単価399ドル)でした。現在、米国には80万人の警察官がおり、ゆくゆくはその全員が「AXON」を装着すると考えられます。
同社の一株当たりの業績は次のグラフのようになっています。
- 【略号の読み方】
- DPS 一株当たり配当
- EPS 一株当たり利益
- CFPS 一株当たり営業キャッシュフロー
- SPS 一株当たり売上高
アップル
アップル(ティッカーシンボル:AAPL)はApple Watchでウェアラブルの市場に参入しました。この製品が発売された以降、未だ決算は発表されていないので、どれだけの実数が売れたかはわかりません。
アップルの場合、同社の利益に占めるiPhoneの割合が非常に大きいので、Apple Watchの発売を手掛かりに投資判断することはできないと思います。逆の言い方をすれば、仮にApple Watchの売れ行きが芳しくなかった場合でも、株価に対する悪影響は少ないです。
因みに先の決算はiPhoneが予想5,700万台に対し6,120万台も売れたのでポジティブ・サプライズになりました。特に中国市場でのiPhoneの売れ行きが好調でした。このようにアップルの業績は中国にかかっていると言っても過言ではありません。
アンダーアーマー
アンダーアーマー(ティッカーシンボル:UA)はスポーツ・アパレルのメーカーです。しかしその経営戦略の一環としてスポーツの計測をするウェアラブルのデバイスも販売していますし、コネクテッド・フィットネス社などのライフログの会社を複数買収し、包括的なウェアラブル戦略を打ち出しています。
但し、目下の同社の売上はアスレチックウェアが大半でありウェアラブルの貢献は僅かです。
先に発表された第1四半期決算ではEPSが予想5¢に対し5¢、売上高が予想8億ドルに対し8.05億ドルでした。
2015年売上高は予想38.1億ドルに対し新ガイダンス37.8億ドルが、営業利益については予想4.15億ドルに対し、新ガイダンス4~4.08億ドルが提示されています。
グーグル
グーグル(ティッカーシンボル:GOOGL)はグーグル・グラスによりウェアラブルの先鞭をつけました。但しグーグル・グラスに対する消費者の反応は必ずしも芳しくなく、同プロジェクトは一旦区切りをつけています。
同社の第1四半期決算はEPSが予想$6.61に対し$6.57、売上高が予想174.9億ドルに対し172.6億ドルと未達に終わりました。
同社はこのところ色々なことに手を出していますが、本業のネット広告のビジネスは鈍化が著しいです。
フィットビット
近くニューヨーク証券取引所に上場される銘柄に、フィットネス向けウェアラブルのメーカー、フィットビット(Fitbit)があります。ティッカーシンボルはFITです。
これまでに同社は累計2千万ユニットを販売しました。
去年の米国フィットネス・ウェアラブル市場でのマーケットシェアは調査会社NPDグループによれば68%でした。つまり圧倒的なリーダー企業です。
同社は6種類のウェアラブル・フィットネス・トラッカーを販売しています。具体的には:
- フィットビット・ジップ
- フィットビット・ワン
- フィットビット・フレックス
- フィットビット・チャージ
- フィットビット・チャージHR
- フィットビット・サージ
- フィットビット・エイリア
がそれです。これらのデバイスを身に纏うことで、歩数、カロリー消費量、歩行距離、階段を上った数、運動をした時間などを記録することができます。
デバイスにはディスプレイがあり、その日の運動量をすぐに知ることが出来ます。同社の製品の中には心拍数を計測できるもの、GPSを備えたものもあります。さらに一部の製品はスマートフォンと機能統合されており、テキストの読み上げ機能を持っています。
同社のウェブサイトではユーザーがダッシュボードを通じて過去の運動記録を管理できます。このウェブサイトはユーザーのフィットネス計画の最適化を可能にします。
フィットビットのペイド・アクティブ・ユーザー数は2014年末の時点で670万人でした。
同社の製品は世界50か国4万5千の小売店で販売されています。
同社の2014年の売上高は7.45億ドルでした。
また同社は既に黒字化しており、2014年のEPSは完全希釈化ベースで$1.07でした。