【今日のまとめ】

  • SaaSとはクラウドを通じてソフトウェアを提供するサービスを指す
  • ネットの普及、デバイスの多様化、セキュリティの問題などからSaaSは時代の流れに
  • サブスクリプション・フィーは「使った分だけ」払えば良い
  • SaaS企業は初期投資が大きいのでどこも赤字である
  • ボックスは最もSaaSに適したサービスを提供している

ソフトウェア・アズ・ア・サービスとは?

ソフトウェア・アズ・ア・サービス(SaaS)とは人事ソフト、会計ソフトなど、企業が日常業務を行う上で必要な様々なソフトウェアを、クラウド、つまりインターネットを通じて提供するサービスを指します。

従来、そのようなソフトウェアを企業が導入する場合は、自前でデータ・ストレージやサーバなどの機器を購入し、高価なソフトウェアを買い、専門のIT担当者を雇ってメンテナンスする必要がありました。

しかし最近ではインターネットが普及したこと、スマートフォンやタブレットなど、あらゆるデバイスからそのようなアプリケーションにアクセスする必要が出て、セキュリティなどへの要求が複雑化したこと、既存のインフラストラクチャの上に継ぎ接ぎするようなカタチでいろいろな機能性やセキュリティ機構を追加しても管理がたいへんになるばかりで所有期間トータルで見たコストが不利になる事などの理由から、全てを自前で抱え込む、そのようなやり方に限界を感じる企業が増えています。

クラウドによるSaaSは、そうした煩わしい一切のことを、専門の業者に「丸投げ」する方法だと考えれば良いでしょう。そして企業はサブスクリプション(購読)フィーというカタチで、毎月、使った分だけサービス・フィーを払えば良いわけです。

ITコンサルタントのガートナーの試算によれば世界のクラウドに対する支出は2013年の1,300億ドルから2017年には2,430億ドルに増加すると見られています。

代表的なSaaS企業には、次のような銘柄があります。

会社名 コード 業務内容
セールスフォース・ドットコム CRM 営業支援ソフト
ネットスイート N エンタープライズ・ソフト
ワークデイ WDAY 人事ソフト
サービスナウ NOW ITサービス
ボックス BOX ストレージ

セールスフォース・ドットコム

セールスフォース・ドットコム(ティッカーシンボル:CRM)は伝説的な経営者、マーク・ベニオフによって創業されたSaaSの草分け的な存在です。

同社はカスタマー・リレーションシップ・マネージメント(CRM)ソフトウェアをクラウドを通じて提供しています。現在の顧客数は約10万社で、70か国で営業しています。

売上高の71%は北米から上がっており、欧州は18%、アジアは11%となっています。

セールスフォース・ドットコムの売上高成長率は年率30%を超えており、成長という点では申し分ありません。また英国、フランス、ドイツの各国にデータセンターを開設し、営業を強化する予定です。このことから今後、欧州経済が上向いた際、同社は多くの新規顧客を獲得すると見られています。

その反面、データセンターやR&Dなどに対する継続投資は引き続き高水準であり、その関係で黒字化のメドは未だ立っていません。

ウォール街の投資家は利益ではなく、売上高成長などを手掛かりに同社株をトレードしています。これは初期投資が莫大なSaaS企業すべてに言えることであり、上場以来10年の歴史を持つセールスフォース・ドットコムの株価形成のされ方(=つまり利益が出てなくても株価は上昇した)は他のSaaS株の今後の株価形成を考える上で参考になると思います。

セールスフォース・ドットコムの会計年度は1月末〆です。従って下のグラフで2014年とあるのは2014年1月末で〆た12カ月を指します。

【略号の説明】
DPS一株当たり配当
EPS一株当たり利益
CFPS一株当たり営業キャッシュフロー
SPS一株当たり売上高

ネットスイート

ネットスイート(ティッカーシンボル:N)は2007年に株式公開されたSaaS企業です。同社の得意は会計やエンタープライズ・リソース・マネージメント(ERM)のソフトウェアです。

同社のソフトウェアは使い勝手が良いと顧客から評判です。このため大企業の中からもネットスイートへ鞍替えする企業が増えています。

同社の売上モメンタムはセールスフォース・ドットコム同様すこぶる強く、売上成長率は30%を超えています。

その反面、現在はデータセンターその他へ対する先行投資負担が重く、未だ黒字化のメドは立っていません。

ワークデイ

ワークデイ(WDAY)は人事ソフトを中心としたSaaSの会社です。同社の経営陣はピープルソフトを立ち上げた創業メンバーによって構成されています。つまり若い企業に似合わない、経験豊富で老獪な経営陣ということです。

同社は最近上場されたSaaS関連銘柄の中では最も急速に売上を伸ばしています。

現在の同社の顧客数は600社を超えています。またワークデイははじめから大企業をターゲットに営業活動をしている点がユニークです。

同社は未だデータセンターやR&Dに多大の初期投資を行っている段階で、黒字化のメドは立っていません。なおワークデイも1月決算の会社です。

なお一株当たり売上高の数字がどんどん小さくなっているように見えるのは売上高が減っているからでは無く、発行済み株式数がどんどん増えているのが原因です。

サービスナウ

サービスナウ(ティッカーシンボル:NOW)はクラウドをベースにITオペレーションを自動化するサービスを提供しています。

同社もワークデイ同様、初期投資負担が大きく、新株を出して資金調達しているので一株当たり売上高の数字はだんだん小さくなっているように見えます。

ボックス

ボックス(ティッカーシンボル:BOX)は企業向けにデータ・ストレージやコンテンツ・コラボレーション・フラットフォームを提供するSaaS企業です。

同社は4万4千社の顧客を持っており、ゼネラル・エレクトリック、トヨタ、ベクテル、アメリプライズ、バイアコム、イーライ・リリーなど、あらゆる業種の企業に採用されています。

ボックスはクラウド・ストレージのサービスを提供することで先ず顧客のデータを預かり、次にコンテンツを共有し、詳細な使用許可ならびにセキュリティ機能を付加することでユーザー間のコラボレーションを簡便にしてやることを提案しています。

ワードファイルやパワーポイントなどのソフトウェアをメールなどでやり取りする方法は、相手にちゃんとファイルが届かない、あるいは自分の手元にあるファイルが最新のものであるかどうかわかりにくいなどの問題があります。クラウド・ストレージを使えばそのような問題から解放されるわけです。

いまのところボックスの大部分の顧客は100%ボックスに移行したわけではなく、自分でデータセンターを運営しながら、それに並行して試験的にボックスのサービスも試しているという段階です。

2014年の同社の売上高は1.24億ドルで前年比+83%でした。他社同様、ボックスも初期投資や営業費用の負担が大きく、現在は赤字です。なお下の一株当たりデータは、新規株式公開による新株の売出し分を考慮していない、過去の実績の数値に基づいています。

このように数字的には未だ醜悪ですが、顧客がコンテンツを一回作っただけで、だれでもシェアできるようになれば、コラボ能力が向上するだけでなく、後々のデータ管理、ガバナンス、コンプライアンス、セキュリティ、アクセス許可、暗号化などにまつわる頭痛の種が解消します。その意味では今、企業向けのサービスで最も必要とされているポイントをそのものズバリ突いている企業という事もできるわけです。