【今日のまとめ】

  • カーニバルは燃料費の下落で恩恵をこうむる
  • ハーレーダビッドソンはベビー・ブーマーの老齢化の悪影響を受ける
  • マテルの業績は小売店における在庫調整で低迷している
  • ポラリス・インダストリーズは新製品発表で売上高を伸ばしている
  • ロイヤル・カリビアン・クルーズは新造船の就航が業績に寄与する

レジャー・セクターに影響を与える要因

人々は景気が良く、お金に余裕があるときにレジャーに出かけます。従ってレジャー・セクターは景気に敏感です。とりわけオートバイやスノーモービルなどは比較的高額のアイテムですので不景気の際は売上が落ち込みます。その点、このところ米国経済は好調ですので同セクターにはフォローの風が吹いていると言えます。

また低金利は割賦で高額のレジャー用品を購入する際、消費者にとって返済が容易になることを意味します。その点、現在の金利環境はプラスに働いています。

クルーズ船は燃料をたくさん消費します。原油価格の下落はクルーズ運営会社にとってプラスです。

玩具は映画やTVなど、その時々のヒット・キャラクターの有無にある程度売上が左右されます。

これらがレジャー・セクターに影響を与える主な要因です。

レジャー・セクターの代表銘柄には、下のような企業があります。

銘柄名 コード 業務
カーニバル CCL クルーズ
ハーレーダビッドソン HOG オートバイ
マテル MAT 玩具
ポラリス・インダストリーズ PII スノーモービル、オフロード車
ロイヤル・カリビアン・クルーズ RCL クルーズ

カーニバル

カーニバル(ティッカーシンボル:CCL)は1972年に創業された世界最大のクルーズ会社です。世界での市場占有率は46%です。

同社は101隻のクルーズ船を下のような地域で運行しています。

カーニバルは下のグラフのように全部で10のブランドを展開しています。このうち左側の四つのブランドは北米・カリブ海、残りは欧州・その他地域です。

2013年に地中海を中心として運行している「コスタ・コンコルディア」が座礁転覆するという事故があり、同社の業績の足を引っ張りました。

同社の営業経費の内訳は下のグラフのようになっています。

このグラフからも判るとおり燃料費は大きな費用項目です。最近、原油価格が急落していることは同社の将来の燃料費の軽減にプラスに働くと思われます。

カーニバルの決算は11月末〆です。

【略号の読み方】
DPS一株当たり配当
EPS一株当たり利益
CFPS一株当たり営業キャッシュフロー
SPS一株当たり売上高

ハーレーダビッドソン

ハーレーダビッドソン(ティッカーシンボル:HOG)はオートバイのメーカーです。同社はアメリカで54.9%の市場占有率を誇っています。

同社の海外売上比率は29%です。

同社はディーラーにおける在庫の水準を適正にするため生産のペースを若干絞り込んでいます。2015年の新モデル、「ロードガイド」に対する顧客からの引き合いは良いです。

1990年代以降、同社は人口動態に助けられてきました。それは同社の主な顧客層であるベビー・ブーマーが高齢化し、所得が上昇するとともに高級なバイクを買い求めたからです。しかし今後はベビー・ブーマーがバイクに乗らなくなることが予想されるため事業戦略の転換を強いられる可能性があります。

マテル

マテル(ティッカーシンボル:MAT)は玩具のメーカーです。

同社はバービー人形の他、ホットウィール、マッチボックスなどのミニカー、幼児向け玩具のフィッシャー・プライス、アメリカン・ガールなどを展開しています。

同社は小売店における過剰在庫の整理のため足下の業績は伸び悩んでいます。小売店における売上は回復途上にあり、在庫は捌け始めています。在庫整理をしている間、マテルはわざと広告宣伝費を抑え、余り積極的に売上高の成長を追求しませんでした。そのため売上高は頭打ちになっているように見えます。

マテルは配当利回りが4.8%あり、この水準は安定的に維持できると考えられます。このため利回り重視の投資家には魅力があると思われます。

ポラリス・インダストリーズ

ポラリス・インダストリーズ(ティッカーシンボル:PII)はスノーモービルやオフロード車のメーカーです。同社はオフロードのパワースポーツ車両を得意としています。

2007年に発表された「RZR」という製品は二人乗りであることからサイト・バイ・サイド・スポーツ車両と呼ばれる場合もあります。

現在、アメリカではこのようなオフロード・レクリエーション車両のファンが20万人居ると言われています。そして近年、その市場は急成長しています。

また同社は公道を走れるレクリエーション車両、「スリングショット」も売り出しています。

さらに最近、113年の歴史を誇るオートバイの老舗ブランド、「インディアン」を買収し、三種類の新製品を発表したばかりです。

ポラリスの業績はこのように積極的な新製品開発を通じて着実に伸びています。

ロイヤル・カリビアン・クルーズ

ロイヤル・カリビアン・クルーズ(ティッカーシンボル:RCL)は世界第2位のクルーズ会社です。同社は40隻の客船を運航しています。

欧州航路ならびに中国のクルーズで予約が増えています。その一方で最近の原油価格の下落はマージン改善要因となると予想されます。

その反面、ドル高は為替差損発生要因です。

同社は「クウァンタム・オブ・ザ・シーズ」という新型の客船を三隻発注しています。これらの新型船は客室当たり売上高が従来船より25%も多くなると予想されており、また運行コストは20%も低くなると試算されています。このため新型船が就航すると同社の業績にプラスに働くと思われます。