【今日のまとめ】

  • 1年物貸出基準金利は5.6%へ
  • 1年物預金金利は2.75%へ
  • 今回は、たぶん単発の利下げだと思われる
  • 中国株、ならびに世界の株式にはプラス
  • 利下げを受けて中国の指標がすぐに持ち直すかに注目

利下げ

11月21日(金)に中国人民銀行が利下げを発表しました。

その発表によると1年物貸出基準金利は0.4パーセンテージ・ポイント引き下げられ5.6%になります。

1年物貸出基準金利が引き下げられると、企業が銀行から融資を受ける際の金利が下がります。

さらにその他の金利も、1年物貸出基準金利をベースに金利が決定されているので、一斉に下がります。

中国人民銀行は1年物預金金利の引き下げも発表しています。引き下げ幅は0.25パーセンテージ・ポイントで、金利は2.75%となります。

1年物預金金利は銀行が預金を集める際、他行より高い利子を払う競争を避ける意味で決められています。銀行の立場からすれば預金金利の上限が決められていることで、健全な貸付利ザヤを確保することが出来るわけです。

この1年物預金金利が、余りに低く設定されると、人々はより有利な運用先を求めて、非伝統的な商品にシフトしてしまうリスクがあります。

単発の利下げか?

今回の利下げは、新しい利下げサイクルの始まりでは無く、あくまでも一回のみの微調整だと思われます。

その背景にはこのところ中国の経済統計は景気の一段の減速を示唆するものが多くなっていたことがあります。

下はGDP成長率です。

鉱工業生産も鈍化しています。

小売売上高も鈍化しています。

もうひとつの要因として、日本の異次元緩和と、それによる急激な円安が、近隣諸国の経済に大きなプレッシャーを与えていることが挙げられます。

株式市場への影響

さて、今回の利下げは短期的には中国株にとってプラスだと思います。

さらに中国に石炭、鉄鉱石などのコモディティを輸出している国々にとっても朗報です。

また欧州中央銀行、日銀、中国人民銀行が相次いで緩和することで市場への流動性の供給が強化されることから、これはアメリカ株や日本株にとってもプラスだと思います。

今後の経済指標に注意

最後に、今後の中国の経済指標をしっかり見届ける必要があるということを指摘しておきたいと思います。

これまで中国政府は不動産セクターのバブルの抑制に取り組んできました。資産価格バブルを軟着陸(ソフトランディング)させるのは、過去の各国の例を見ても極めて困難です。

従って今後中国から出てくる経済指標がすぐに持ち直すかどうかに注目したいと思います。