【今日のまとめ】

  • 株価の急反発はファンダメンタルズに裏打ちされている
  • 米国のGDPは先進国で一番高い成長を見せている
  • 製造業は絶好調
  • 企業収益も良い
  • 原油価格の下落は企業と消費者の両方にプラス

最高値付近にある米国株式市場

アメリカの株式市場は9月下旬から10月の半ばにかけて急落しました。しかしそこから鋭角的に切り返し、現在は急落前の最高値の水準にほぼ顔合わせしてしまっています。

この素晴らしいパフォーマンスは、ちゃんと経済のファンダメンタルズ(基礎的要件)に裏打ちされているのでしょうか?

今日はそのことを検証してみたいと思います。

米国のGDP

結論から言えばアメリカ経済はすこぶる好調で、株高は十分正当化できると思います。先ず米国のGDPですが第3四半期の速報値は市場コンセンサスを上回る+3.5%でした。

これは先進国の中で最も高い成長です。

製造業は絶好調

アメリカの製造業は、いま調子付いています。下はISM製造業景況指数です。

最新の数値は59でした。これは2011年2月の59.1とほぼ同等の水準です。この指数が60を超えたことは1990年以降では5回しかありません。

つまり今は過去最高の水準に近いところへ来ているのです。細目を見ると、生産指数が過去10年の最高の64.9を記録しているほか、新規受注も過去10年で二番目に良い数字でした。

受注残の内容は航空機などの長い時間をかけて納品される案件が多いです。このことは、かなり先まで将来が見通せることを意味します。

企業収益も良い

次に企業収益を見ます。2014年第3四半期の決算発表は、全体の約4分の3の企業の報告が終わりました。S&P500指数に採用されている企業の7割近くが、事前のアナリスト予想を上回る、いわゆるポジティブ・サプライズを出しています。

その結果、第3四半期のS&P500採用企業の利益成長率は+9.3%となることがほぼ確定しています。これは2013年第4四半期の+9.9%に次ぐ高い数字です。

原油価格下落は製造業、消費者の両方にプラス

最近、原油価格の下落が著しいですが、これは米国内におけるシェールオイルの増産で、供給が需要を上回ったことが主な原因です。

これに加えてサウジアラビアが世界市場でマーケットシェアを死守するため値引き攻勢に出たことが原油価格の下落に拍車をかけました。

ここで注意すべきことはこのエネルギー価格の下落でアメリカの製造業や消費者は大きな恩恵を被るという点です。

下は全米平均レギュラー・ガソリン価格ですが、ここ数年の下値支持線である3ドル30セントを大きく割り込んでいます。

ラフな目安としてはレギュラー・ガソリン価格が1¢下落すると、消費が10億ドル増えると言われています。つまりクリスマス商戦を前にして小売業者にとっては神風が吹いているのと同然なのです。

まとめると米国経済は今、スイートスポットに入っています。少々、欧州や中国の経済が減速しても、それを楽々跳ね返すことが出来るモメンタムがついています。当分の間、この勢いでアメリカが世界経済をけん引していくことになるでしょう。