興業銀行の第三者割当に不参加、配当や自己資本比率維持においてプラスの評価

現地コード 銘柄名 株価 情報種類
00011 恒生銀行(ハンセン・バンク) 107.10 HKD
(03/06現在)
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ハンセン銀行の関連会社に当たる興業銀行は3月5日、第三者割当増資を通じて最大で264億元を調達する計画を発表したが、ハンセン銀行は引き受け参加を見送る方針であり、BOCIはこの決定を前向きに評価している。増資の完了後、ハンセン銀行の持ち株比率は現在の12.8%から10.7%に低下するが、2012年通期利益の希薄化効果は約2%にとどまり、Tier1(中核的自己資本)比率の維持にもつながるとの見方。さらに引き受けを見送るとの決定が、配当見通しや新たな自己資本規制「バーゼル3」導入を控えた資本基盤への懸念を払しょくすると指摘した。2012年の予想配当利回りが約5%に達することに言及し、ハンセン銀行に対する強気の見通しを継続している。

BOCIは増資の完了後も、ハンセン銀行の立場にはほとんど変化がないとみている。同行は2007年から興業銀行を持分法適用会社としており、持ち株比率が今後10.7%に低下しても、引き続き取締役会および執行委員会を通じて大きな影響力を保つと予想。興業銀行の意思決定プロセスに関与するだけの能力を維持する見通しを明らかにした。ちなみに香港会計基準28項によると、関連会社とは投資家側が財務・事業政策決定に参加するなど、一定の影響力を行使できる対象を指し、持ち株比率が20%を下回ると、この条件をクリアするために影響力を証明する必要が生じる。BOCIはハンセン銀行がこの点をすでにクリアしているとの見方。2011年の年報に記された通り、ハンセン銀行は上級管理職者2人を送り込み、この2人が興業銀行の意志決定プロセスに関与している。

BOCIは引き受け不参加による2012年通期利益の希薄化は2%と、最小限にとどまるとの見方。BOCIは事前にハンセン銀行の不参加を予測し、12年利益の希薄化効果をすでに通期利益予想に組み入れている。

BOCIはまた、今回の決定がハンセン銀行の配当見通しや、資本基盤に対する警戒感の払拭にもつながるとみている。同行のTier1比率は2011年末時点で11.6%と、引き続き高水準を維持した。2012-14年の同行の配当については1株当たり5.20HKドルとの予測を据え置いている。

なお、興業銀行は4社に対し、1株当たり12.73元(直近20営業日の平均株価に対して10%のディスカウント水準)で新株20億7200万株を発行し、総額263億8000万元を調達する計画。BOCIによると、増資の完了に伴い、興業銀行の2012年のTier1比率は9.4%に上向く見通しという。