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トラック・建機セクターについて
広瀬 隆雄
わかりやすいグローバル投資レポート
グローバル投資に精通する広瀬隆雄氏に、新興国株式だけでなく、米国株、欧州株をはじめとする先進国株式など、海外全般の経済や投資ストラテジーをご紹介いただきます。

トラック・建機セクターについて

2014/9/16
トラック需要は運送業の景気に左右されると同時に買い替えサイクルや排ガス規制などの影響を受けます。トラック市場の指標となるのはクラス8(エイト)と呼ばれる、長距離トラックの販売台数です…
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【今日のまとめ】

  • キャタピラーの市場は長期で伸び悩むと予想される
  • カミンズはトラック向けのビジネスが明るい材料
  • ディーアは農家の減収で見通しが暗転
  • マニトワークには分社化の圧力がかかっている
  • パッカーは唯一、明るい見通しの銘柄

トラック・建機セクターの概観

トラック需要は運送業の景気に左右されると同時に買い替えサイクルや排ガス規制などの影響を受けます。トラック市場の指標となるのはクラス8(エイト)と呼ばれる、長距離トラックの販売台数です。7月のクラス8販売台数は29,900台で、これは前年同期比+70%でした。あくまでも単月での数字なのでこれを単純に12倍することはでませんが、今後に期待できる数字には違いありません。このような好調の原因は先延ばしされてきた長距離トラックの買い替え需要が積み上がっていたこと、景気回復で荷が増えていること、長距離トラックのドライバー不足で運転しやすく運転手に人気がある新型トラックの導入を運送会社が急いでいることなどによります。

建機は固定資産投資サイクルの影響を受けます。2003年頃からBRICsにおける建設ブームがおこり高水準の需要が続きました。しかし長期に渡るブームで新品の建設機械が広く行き渡った結果、新興国における建機は余剰気味になっています。さらに中国政府が住宅建設抑制政策を打ち出したので建設市場は冷え込んでいます。

鉱山で使用される削岩機械は石炭、鉄鉱石、銅などのコモディティ価格に影響を受けます。最近はコモディティ価格が軟調に推移しているので鉱山機械の需要は急減しています。

農業機械は穀物価格ならびに農家の収入に左右されます。近年、中国がとうもろこしや大豆を沢山輸入しはじめたことで穀物価格は堅調に推移してきました。これを受けて農業機械の需要も強かったです。しかし耕地面積の拡大で供給が増え、価格が崩れたことで農家の収入は減少しています。これが農業機械の売上に影を落としています。

このセクターには下のような銘柄があります。

銘柄 コード 事業内容
キャタピラー CAT 建機
カミンズ CMI ディーゼル・エンジン
ディーア DE 農業機械
マニトワーク MTW タワー・クレーン、製氷機
パッカー PCAR 長距離トラック

キャタピラー

キャタピラー(ティッカーシンボル:CAT)は世界最大の建機メーカーです。同社はショベルローダー、ブルドーザー、コンパクターなどの建設機械の他、ディーゼル・エンジンやタービンを作っています。需要先別の売上構成は下のグラフのようになっています。

北米市場ではタービン、南米やアジア太平洋市場では鉱山機械が最も売れています。

海外売上比率は67%です。このところキャタピラーの売上高は伸び悩んでいます。中でも一番落ち込んでいるのは鉱山機械で、これは石炭、銅などの市況低迷が原因です。建設機械、発電は横ばいです。

同社の製品を扱っているディーラーは在庫の圧縮を進めており、これが売上の伸び悩みの一因となっています。

このように全般に売り上げ面で長期に渡って余り改善が見込まれないことから、キャタピラーはコスト削減に取り組んでおり、これは予定通り進捗しています。また2013年以降、62億ドルにのぼる自社株の買戻しを実行しており、発行済み株式数の減少が一株当たりの業績を下支えしています。

【略号の説明】

  • DPS一株当り配当
  • EPS一株当り利益
  • CFPS一株当りキャッシュフロー
  • SPS一株当り売上高

カミンズ

カミンズ(ティッカーシンボル:CMI)は1919年にインディアナ州コロンバスで創業されたアメリカ最古のディーゼル・エンジン会社です。同社はフォード、日野、ボルボなどのトラックメーカーにディーゼル・エンジンを提供するだけでなく、フィルター、ターボチャージャー、燃料システムなどの部品も作っています。同社の製品は世界190か国で6,800のディーラーを通じて販売されています。

同社の売上高で一番大きいのはエンジン部門で、同社はディーゼルならびに天然ガスを燃料としたエンジンを「カミンズ」ブランドで販売しています。北米市場でのマーケットシェアは38%です。この北米市場は+14%程度で成長しており、同社のターゲット市場の中で唯一明るい見通しの市場となっています。同社のエンジンは長距離トラック、バス、RV、農業機械、建機、石油・天然ガス生産機器などで使用されます。同社のエンジンは2.8リットルから91リットルで、馬力は49馬力から4,200馬力のものまであります。

コンポーネント部門はターボチャージャー、フィルター、燃料システムなどの部品を提供しています。主な顧客はパッカー、ダイムラー、ボルボ、ナビスター、コマツ、フォードなどです。

発電部門は発電システムの制御装置、オルタネーター、トランスファー・スイッチなどを製作しています。

ディストリビューション部門は27の子会社、ならびに15のジョイント・ベンチャーを通じて同社の様々な製品を最終顧客に届けています。

同社の売上高の半分を占める海外市場はBRICs諸国での需要の伸び悩みの影響を受けています。

ディーア

ディーア(ティッカーシンボル:DE)は世界最大の農業機械メーカーです。同社はそれに加えて園芸向け、林業向け、建設業向けの機械も作っています。

米国における穀物の在庫は高水準であり、米国農務省(USDA)は大豆、小麦、綿花、とうもろこしの各商品の今年の価格見通しとして-5%から-15%程度を予想しています。この結果、2014年の米国の農家の収入は950億ドルにとどまるものと予想されています。これは去年の1,300億ドルから大幅な減収となる予想です。

米国の農家の操業コストは近年の人件費の高騰などの影響で比較的高止まりすると見られており、先延ばし出来る設備投資は見送られると予想されます。このため北米市場における農業機械の売上高は前年比-10%程度が予想されます。

一方、南米ではブラジル経済が低迷していることから農業機械への需要も軟調です。

こうしたことから目先ディーアの業績は足踏みすると思われます。

マニトワーク

マニトワーク(ティッカーシンボル:MTW)は1902年に創業された建機メーカーで、超大型のタワー・クレーンと製氷機を作っています。

同社のタワー・クレーンは大変頑丈で信頼性が高く、建設関係者の間では「クレーンのロールスロイス」と呼ばれています。同社の製品は橋梁工事や精油所建設などに使用されます。

一方、同社の製氷機はレストラン、ホテル、病院などの商業用のキッチンに備え付けられます。

同社のタワー・クレーンは一度購入すると20年以上の使用に耐えます。そのことは逆に言えば需要サイクルも大きな波を形成することを意味します。最近では2008年のリーマンショックの前までが大きな上昇波動でした。しかしその後は横ばいを続けています。

現在、タワー・クレーンの受注残は7.3億ドル残っており、これを消化しながらやりくりする状況が続いています。

同社のタワー・クレーンの事業と製氷機の事業は、顧客も違うし、運営上のシナジーは殆どありません。その関係で二つの会社に分離した方が良いのではないか? という圧力が株主からかかっています。

パッカー

パッカー(ティッカーシンボル:PCAR)は「ケンワース」、「ピータービルト」、「DAF」の3つのブランドを展開する長距離トラックメーカーです。2013年の北米クラス8トラック市場に於ける同社のマーケットシェアは28%でした。また2013年のユーロ圏の大型トラック市場におけるマーケットシェアは16.2%でした。同社はグローバルに見ると7%のシェアを占めています。

大型トラックの市場は景気に大きく左右されます。また排ガス規制の強化や故障診断装置の義務付けなど、規制に左右されます。近年の大型トラックの地域別販売台数の推移は下のようになっています。

現在はリーマンショックならびに欧州財政危機の後遺症から立ち直ろうとしているところです。

北米の大型トラック市場は「クラス8」というカテゴリーになりますが、今年の販売台数予想は23から25万台を見込んでいます。またユーロ圏では16トンを超えるトラックは、今年は21から23万台が予想されています。

パッカーは北米では「ケンワース」と「ピータービルト」のブランドを展開しています。欧州では「DAF」ブランドを展開しています。

需要のサイクルという観点からはトラック市場の見通しは明るいため、今後の米国景気の回復を見込んで投資するならパッカーが一番好適だと思われます。

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