販売量の増加で値下げの影響を相殺、金融緩和による需要回復を期待

現地コード 銘柄名 株価 情報種類
03323 中国建材股フン有限公司 (チャイナ・ナショナル・ビルディング・マテリアル) 8.19 HKD
(01/17現在)
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中国建材股フン有限公司(CNBM)は1月初め、主に南方水泥有限公司が管轄する地域で販売価格を1トン当たりおよそ10元引き下げた。同社経営陣は2012年1-3月期の価格引き下げ幅を20-30元とみて、1トン当たりの粗利益が11年10-12月期の86元から12年1-3月期には60元以下に減少するとの見通しを示している。11年11月および12月に続き、旧正月前の1月半ばには東部で20-35日間の生産調整が予定されており、この影響で固定費が上昇し利益圧迫の要因となっている。

同社は12年1-3月期に中国総合水泥集団有限公司および南方水泥の利益率が悪化すると見込んでいるものの、11年1-3月期の1トン当たり50-60元を底に徐々に回復するとし、12年の平均粗利益は少なくとも11年通年の水準に戻ると説明している。しかしながらBOCIは12年に粗利益が回復する可能性は低いと分析。中国総合水泥集団および南方水泥の12年1-3月期粗利益は、販売価格が前期比で1トン当たり30元値下がりした場合、前年同期比30-50%の59元、60元と試算される。この状態から通年の利益を11年平均値に戻すには4-12月期に大幅なキャッチアップが必要。BOCIはこれを踏まえ、中国総合水泥、南方水泥、北方水泥の12年粗利益予想値をそれぞれ1トン当たり69元(前年比19%減)、81元(同27%減)、88元(同15%増)に据え置いている。

同社は中国証券監督管理委員会(CSRC)より12年1-3月期に承認を得られれば、その後6カ月以内にA株市場で新規株式公開(IPO)を実施する計画を示している。

同社の11年末時点のセメント生産量は前年比22.5%増の2億5000万トン(内訳は中国総合水泥集団が8000万トン、南方水泥が1億5000万トン、北方水泥が2000万トン)。12年中には生産量が3億トンを超す見通し。同社は現在、割安な中国西南部の生産拠点を積極的に買収している。これについてBOCIは、短期的なリターンは望めないが中長期的には価値ある投資と判断。販売量の増加が12年利益をけん引し、粗利益減少の影響を緩和すると指摘した。BOCIは最新の業務データを考慮した上で同社の11-13年予想利益を2-5%下方修正。12年予想利益を前年比8%減とみている。

12年1-3月期の値下げを市場はネガティブに捉えるとBOCIはみているが、一方でソーシャルファイナンシングの増加やリバース・レポによる資金注入計画といったポジティブなニュースが最近見受けられる。資金需給が緩和されれば建設プロジェクトへの投資が活発化し、セメント需要の回復につながるとBOCIは期待。こうした点を踏まえ、BOCIは同社の株価の先行きを強気見通しに据え置き、目標株価12HKドルを維持している。