12年のシェア拡大を予測、VIPカジノ部門の強化やSCC開業が成長エンジンに

現地コード 銘柄名 株価 情報種類
01928 金沙中国有限公司(サンズ・チャイナ)  23. 50 HKD
(01/12現在)
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BOCIは引き続き、マカオのカジノ運営事業者6社の中でサンズ・チャイナを最有力視している。2012年にはマカオ全体のカジノ総収入が前年比18%増に減速するとみているが、「サンズ・コタイ・セントラル(SCC)」の開業を理由に、同社のカジノ収入を楽観。VIP部門で56%、一般客部門で49%の伸びを示す見通しを示した。目標株価を上方修正した上で、同社株価の先行きに対して強気の見通しを継続している。

同社にとってはVIP向けカジノ部門の成長とSCCの開業が収益成長エンジンとなる見通し。BOCIは2012年1-3月期に開業予定のSCCについて、12-13年の正味カジノ収入が計48億米ドル、調整後EBITDAが計12億7000万米ドルに上ると予測している。これに伴い、カジノ市場における同社シェアは11年の16%から、12年には20.8%に上向く見通しという。同社のカジノテーブル数は1-3月期に予定されるSCC第1期の開業に伴い330台(うち130台はVIPテーブル)、7-9月期の第2期開業に伴いさらに200台増える予定となっている。

また、同社はVIP業務の強化を目指し、プラザ・マカオとフォーシーズンズ・マカオをVIP主体のカジノホテルとする計画を進めている。フォーシーズンズ・マカオのヘルスクラブをジャンケット(VIP向け世話人)フロアに改装しているほか、ベネツィアン・マカオでも一部カジノエリアのVIPルームへの改装が進行中。BOCIはVIP市場における12年の同社シェアが、前年を4.2ポイント上回る16.8%に上向くとみている。

BOCIはVIP部門だけでなく、同社の一般カジノ部門に対しても楽観見通しを示している。SCC開業に伴い、一般客向けのカジノテーブル数が400台増加することで、新興エリアであるコタイの人気が一段と高まるとの見方。一般カジノ市場における同社シェアが5.4ポイント上昇し31.1%に大きく上向くと予測している。なお、SCCは5800客室規模で、シアター、ショッピングエリア(計70万平方フィート)、さらにMICEスペース(計12万5000平方フィート)などを備える大型施設。SCC開業のほか、◇広東省以外の本土住民によるマカオ渡航の増加が見込まれること、◇ホテル客室稼働率が昨年8月に88.3%に達するなど、マカオ全体で客室供給が不足していること――なども一般客部門の成長を後押しする見通しという。

一方、この先のリスク要因の一つは、中国の経済成長減速や不動産市況の悪化に伴うVIP客の減少。複数のカジノ運営事業者がVIP収入の伸び率減速を見込み、マカオ全体のカジノ総収入が12年に前年比15-20%増にとどまると予想している。この数字は11年実績の同42%増を大きく下回るペースとなる。ただ、BOCIはVIP収入の減速見通しはすでに株価に織り込まれたとの見方だ。このほか、潜在的なリスク要因として、マカオへの個人旅行に関する中国本土の規制強化などを指摘している。