利幅縮小懸念も動画サイト部門に成長力、既存のユーザー基盤などが強み

現地コード 銘柄名 株価 情報種類
00700 騰訊控股(トウジンコウコ)  153.90 HKD
(12/07現在)
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騰訊控股については2011年4-6月以降、利幅縮小に対する警戒感が浮上している。また、積極的な投資戦略がROE(株主資本利益率)を圧迫しているが、同社の投資期間は向こう6-12カ月にわたって続く見込み。投資の一部はすでに増収率の押し上げに寄与しているものの、利益上乗せ効果は限定的となっている。BOCIは11-12年の売上高を280億元、370億元と予想。10年に前年比56%に達した増益率については、11年、12年に31%、27%に減速するとみている。ただ、利幅の縮小、利益成長率の減速懸念による株価への影響に言及する一方、強固なビジネスモデルや、膨大で安定的な利用者基盤、さらに製品ラインを絶えずアップグレードさせる姿勢を前向きに評価。同社株への投資チャンスは依然存在するとし、株価の先行きに対して中立的な見方を示した。

中国放送当局の国家広播電影電視総局(SARFT)は12年1月1日付で、テレビ局を対象とした「娯楽番組の放送時間規制」、「ドラマ放送時間中のCM放送禁止措置」などを施行する。テレビ局にとって逆風となるこうした規制は動画サイト業界にとっての追い風。娯楽番組視聴を目的としたトラフィック拡大が見込まれ、結果的に広告収入の伸びやVIP顧客向け有料化モデルの導入に向けたビジネスチャンスが広がることになる。

一方、国内の固定通信キャリア2社は最近、相次いでブロードバンド料金値下げや既存ユーザー向けの回線容量の無償拡大といった動きをみせている。BOCIによれば、キャリア各社のこうした動きは、◇ランニングコスト軽減による営業利益率の改善◇利用料値下げによる動画サイトのトラフィック増加――の2点において、騰訊控股を含む動画サイト・プロバイダーに有利となる見通しという。

国内の動画サイト業界では新旧入り混じる形で業者間競争が激化しており、BOCIは大手が株式公開を通じた資金調達に動く中、この先、業界統廃合が進むとの見方だ。当初QQLive名で動画サイト事業を立ち上げた騰訊控股は、11年上期に同事業のアップグレードを実施し、同時にTencent Online Video名に変更したが、iResearchの調査によれば、Tencent Online Videoの動画放送回数は11年初めから35週間に1日当たり2000万回を突破。優酷(Youku)、土豆(Tudou)などと並ぶ大手の1社に位置づけられた。BOCIは動画事業の急成長の理由として、既存のインスタントメッセージ(IM)ソフトQQの膨大な利用者基盤や、資本力、川上分野との戦略的統合などを指摘している。

BOCIは従来より、IM、ポータルサイト、検索エンジンに続き、動画サイト事業が同社広告収入の新たなけん引役になる見通しを示していた。1-9月期のオンライン広告収入は売上高の6.7%に当たる13億9000万元。「国内動画サイト業界の総広告収入が140%増加し、同社シェアが10%に拡大する」という最も楽観的なシナリオに基づく分析では、12年の広告収入は動画サイトだけで11億5000億元に達する見込み。