スピードと効率性を重視した戦略が奏功、シェアと利益率の拡大で業績改善

現地コード 銘柄名 株価 情報種類
01070 TCL多媒体科技控股有限公司(ティーシーエル・マルチメディア・テクノロジー・ホールディングス)  2.46 HKD
(11/09現在)
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BOCIは、中国におけるLEDバックライト式テレビ、3Dテレビ、スマートTVといったハイエンド製品を中心とした液晶テレビの需要拡大を見込み、TCL多媒体科技控股有限公司(TCL)の利益率が今後大幅に改善すると指摘。今年に入りスピーディーかつ効率的な経営戦略が奏功していることからも同社の今後の業績を期待視している。これらを踏まえて同社の株価の先行きを強気見通しに、目標株価は2011年予想PER7倍を基準に設定した。

同社はCCFL(冷陰極管)型パネルの在庫処分の影響で前年度は損失を計上したものの、在庫一層後は業績が急速に改善。今年はスピードと効率性を重視した経営戦略を掲げ、市場シェア拡大と大量取引による交渉力強化を図っている。特に今年7月以降、中国のテレビ販売台数は急速に伸びており、波に乗った同社の戦略が奏功した。「DisplaySearch」によると、11年4-6月期の同社液晶テレビ出荷台数シェアは15.33%と前年同期を3.3ポイント上回り、スカイワース(00751)を抜いて業界2位に浮上した。

ただ、スカイワースは3Dテレビなどハイエンド製品の販売比率が高いため、粗利益率ではTCLを上回っている。11年9月の国内テレビ販売シェアを見ると、3Dテレビのシェアはスカイワースが30.9%、TCLが10.7%。国内ではインターネットTVと3Dテレビの人気が高く、これらの普及が進むとともにTCLの3Dテレビ販売量も増えるとみられるため、今後の利益率アップが見込まれる。今年9月の国内液晶テレビ市場におけるインターネットテレビおよび3Dテレビのシェアはそれぞれ30.1%、10.7%。

液晶テレビの需要に対して液晶パネルの生産量が増加傾向にあるため、供給過剰からパネル価格は低調に推移している。欧州の債務危機や米国の景気停滞で世界的なテレビ需要が勢いを欠く中、中国の液晶パネルメーカーは11年下期に相次いで新たな生産ラインを稼働。こうした状況下、パネル価格は向こう数カ月間停滞が続く見通しで、テレビメーカーは原料コスト削減の恩恵を享受できるとBOCIは指摘している。

「DisplaySearch」は12年のテレビ出荷台数について、市場全体を前年比10%増としたのに対し、TCL、スカイワース、コンカ、ハイアール、長虹、ハイセンスといった中国主要テレビブランドは同14-38%増に達すると予想。3Dおよびスマートテレビが需要をけん引し、なかでも3Dテレビの人気が顕著だという。AVCによると、11年4-6月期の国内液晶テレビ市場に3Dテレビが占めた割合は8.4%。10-12月期には3Dテレビのシェアが22-24.9%に達すると予想している。