7-9月期に88%増益、NEC合弁や独メディオン買収で成熟市場のシェアが拡大

現地コード 銘柄名 株価 情報種類
00992 聯想集団(レノボ・グループ)  5.60 HKD
(11/03現在)
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レノボ・グループの2011年7-9月期決算は、売上高が前年同期比35.2%、純利益が88%の伸びを示した。主にNECとの合弁事業やドイツの大手電子機器メーカー、メディオンの買収が好決算に寄与した。BOCIはタイの洪水に起因するHDD(ハードディスクドライブ)の不足や中国経済の成長減速見通しを理由に、向こう2四半期にわたって事業環境の悪化に直面するとみている。ただ、同社が今も急成長サイクルのさなかにあり、市場シェアの拡大トレンドが今後も続くとの見通しを維持。また、事業環境の悪化はあくまで一時的とみて、株価の先行きに対する強気の見方を継続している。

7-9月期決算は好調で、売上高が前年同期比35.2%増の77億8600万米ドル、純利益が88%増の1億4400万米ドル。粗利益率は12.17%と、前年同期の10.30%を上回った。同期のパソコン出荷台数は前年同期比35.8%と、世界の業界平均伸び率の約7倍に当たるペース。また、中国国内だけでなく、その他新興市場、成熟市場でシェアを伸ばし、同期の世界シェアは四半期別で過去最高となる13.5%に達した。特に注目されるのは成熟市場でのシェアが9.1%と、前年同期を3.4ポイント上回ったこと。NECとの合弁事業やメディオン買収による効果が表れた形となり、日本、西欧の両市場でシェアを大きく伸ばした。

ただ、BOCIによると、タイの洪水がパソコン業界に及ぼす打撃は大きく、この先2四半期は苦戦が続く見通し。HDDの供給不足が見込まれるが、同社の現在の在庫レベルでは11月半ばまでしか支えきれず、10-12月期の販売に影響する可能性が高まっている。タイは世界最大のHDDおよびコンポーネントの生産基地。世界の4大ハードドライブ・メーカー(ウェスタン・デジタル、シーゲート、日立、東芝)はいずれもタイに生産拠点を持ち、中でもウェスタン・デジタル、東芝のHDD生産能力に占めるタイの割合はそれぞれ60%、50%に上る。また、日本電産やTDKなど、その他主要HDDコンポーネント生産者もタイに主要工場を置いており、関連メーカーの多くが今回の洪水でライン閉鎖を余儀なくされた。ただ、BOCIは洪水によるマイナス影響がそれほど長引かずに収束するとの見方。2-3カ月後にはサプライチェーンが正常化するとみている。

一方、レノボの苦戦を見込むもう一つの理由は中国経済の減速見通し。BOCIは2012年1-3月期に経済成長率が底となる可能性を指摘している。11年7-9月期には同社売り上げ全体に占めるパソコン国内販売の割合は38%にとどまったが、営業利益全体に占める割合は78%に達した。