VIP業務強化でチップ収入の大幅増を予想、新規リゾートの開発認可を近く取得か

現地コード 銘柄名 株価 情報種類
02282 美高梅中国控股有限公司 (エムジーエム・チャイナ)  12.66 HKD
(09/14現在)
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マカオでカジノリゾートMGMグランドを経営するエムジーエムは同業のウィン・マカオ(01128)と同様、VIPおよび一般高額消費層を主要ターゲットとする成長戦略を強化している。同社は現在、MGMグランドの2階にあるスパをVIPカジノルームに改造中。また、31-33階に配置していたジャンケット(アテンド・送迎その他サービスに従事するVIP向け世話人)を下層階に移してVIP顧客の便宜を図るとともに、チップ増収を目指したジャンケット向けのインセンティブ制度を導入した。BOCIはこうした戦略を受け、同社のVIPの掛け金が今年、前年比68%増加するとみている。このほか、向こう2-3カ月内にも、コタイ地区第14区画の土地開発権を取得する可能性を指摘し、これが2015年以降、収益性の一段の向上につながるとの期待感を示した。BOCIは同社の新規カバレッジを開始し、株価の先行きに強気見通しを示している。

中国本土からの旅行者数の増加を背景としたカジノ市場の好況を受け、同社は急成長を遂げている。ただ、同社のカジノ施設はMGMグランド1カ所に限られ、カジノ収入に基づく事業者別シェアは最下位。BOCIは同社シェアが昨年の8.9%から今年は10.6%に上向くと予測しながらも、12年、13年には再び9.5-10%に後退するとみている。サンズ・チャイナ(01928)が来年第1四半期から段階的に新規カジノリゾートを開業することや、銀河娯楽(00027)が5月に開業したギャラクシー・マカオの稼働率上昇が見込まれることなどが背景。

コタイ地区14区画の開発権について、BOCIは年内の認可取得を見込んでいる。カジノ市場における同社シェアが最低水準にあることが、マカオ政府による早期開発認可につながる可能性を指摘。また、ウィン・マカオが近く、コタイ地区第9区画での開発権認可を取得するとの情報も早期認可を見込む根拠になるとしている。政府は以前、ウィン・マカオ、エムジーエム、澳門博彩控股(00880)の開発申請の一括審査していることを示唆していた。BOCIはエムジーエムによるコタイ14区画の工期を約4年と予想。15年の完工を見込み、それ以降の収入および収益性の向上を予想している。 また、同社は今年9月、中国海南省三亜にMGMグランド三亜(客室数665)を開業する。三亜の新規ホテルや北京釣魚台ホテルにおけるハイクラスのサービスが、MGMグランドの広告効果につながる見通しが示されている。 一方、BOCIは同社を含むカジノ銘柄全体を取り巻く潜在的なリスク要因として、中国政府によるマカオ渡航規制などの政策ファクターを挙げた。また、同社独自のリスク要因としては、傘下のカジノリゾートがMGMグランド1カ所にとどまる点を指摘。コタイ地区14区画の開発権を取得できるかどうか100%の確証はなく、例え早期に開発権を獲得しても、新規施設の開業までには約4年間を要する点に言及している。