11年6月中間期は2桁減益、下期の粗利益率回復を予想

現地コード 銘柄名 株価 情報種類
00763 中興通訊(チュウコウツウシン)  21.15 HKD
(08/11現在)
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中興通訊の2011年6月中間決算(中国会計基準に基づく未監査速報値)は純利益が前年同期比12.4%減の7億6852万元、売上高が同21.6%増の373億元だった。売上高が市場予想を上回る一方、純利益は予想から大きく下振れした。BOCIは主な理由として、◇粗利益率が前年同期の33.45%から29.76%に後退した◇ソフトウェア関連の付加価値税(VAT)還付の計上が年度下期にずれ込んだ――の2点を指摘している。

同社経営陣は11年を「欧州市場開拓に向けた戦略的な1年」と位置づけている。国民技術(深セン300077)株の売却に伴う9億元強の非経常収入が中間期利益を下支えしたタイミングで、欧州開拓に向けた投資を行い、フランステレコム、MTN、ハチソン・ワンポア(00013)を含む海外の有力キャリアからLTE(次世代携帯通信規格)設備の初受注を獲得した。中興通訊のような設備ベンダーが有力キャリアから受注を獲得するに当たっては、利益率の低下は避けられず、新システムの切り替えを促すためにも製品・サービスの大幅値引きが不可欠。多くの欧州通信キャリアは現在、2G、3Gから4Gへのアップグレードを進めているが、新規格に乗り換えるには現行のベースステーション・ハードウェアを放棄し、中興通訊が新規開発したSDR(ソフトウェア無線)システムに切り替える必要が生じる。

海外売上高は6月中間期に前年同期比36.4%増の208億元。フランステレコムやMTN、ハチソンからの新規受注を背景に、国内売上高(同6.9%増)を上回る伸びを記録し、売り上げ全体の55.7%を占めた。ただ、その一方で海外販売の拡大がネットワーキング設備の粗利益率悪化(38.04%→34.51%)を招いた。また、携帯端末部門の粗利益率も22.71%から19.63%に低下。スマートフォン販売は急増したものの、キャリア向けの値引きが響いたとみられている。 一方、中間期には付加価値税還付3億6200万元を計上したが、経営陣によれば、本来計上するはずだった別途4億元余りが下期に持ち越された。ソフトウェア企業向けの還付規定の変更が先送りの理由という。 経営陣は下期の粗利益率の回復を予想し、業績見通しを楽観している。その理由の一つは、国内でキャリア・ネットワーキング製品の販売増が見込まれること。6-7月にはファイバートランスミッション、アクセスネットワークなど、複数の大型入札が発表された。また、スマートフォン機種を絞り込む同社方針を受け、携帯端末部門の粗利益率改善が予想されている。 BOCIは下期以降の粗利益率回復を見込み、2011年、12年の利益見通しを現行水準に据え置いた。国内キャリア3社が中間決算発表時に最新の設備投資計画を明らかにするのに伴い、通信設備セクターに対する投資心理が上向くとの見方。同社株価の先行きに対して強気の見通しを継続している。