11年6月中間決算、燃料コストの増大やロードファクター低下で59%減益

現地コード 銘柄名 株価 情報種類
00293 国泰航空(キャセイパシフィック・エアウェイズ)  16.34 HKD
(08/11現在)
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キャセイ・パシフィックの2011年6月中間決算は、純利益が前年同期比58.9%減の28億800万HKドルと、BOCI予想を下回る水準にとどまった(EPSは0.714HKドル)。主に需要の伸びが輸送力の増加ペースを下回ったことや、燃料調達コストの増大が背景。売上高は同13.2%増の467億9000万HKドルだった。BOCIは11年、12年の予想EPSをそれぞれ2.04HKドル、2.17HKドルに下方修正。世界的な景気不透明感や燃油相場の変動をリスク要因として指摘しながらも、同社株価の先行きに対して強気見通しを継続している。

旅客輸送部門の売上高は輸送量(人キロ)の前年同期比3.6%の伸びを背景に堅調を維持したが、輸送能力の拡大ペースが需要を上回った結果、旅客ロードファクター(座席占有率)は4.7ポイント低下した。同期の部門売上高は15.9%増の317億7000万HKドル。輸送能力の9.8%の伸びや、ファーストクラス、ビジネスクラス需要の拡大を背景としたイールド(有償旅客1人のキロ当たり収入)の11.8%の増加、為替差益効果、燃油サーチャージの引き上げなどが2桁増収に寄与した。一方、貨物部門の輸送量(トンキロ)はわずか0.5%の増加率にとどまり、4-6月期には前年同期実績を下回った。中間期の部門増収率は8.7%で、貨物ロードファクターは9.6ポイント低下。イールド(有償貨物1トンのキロ当たり収入)は7.1ポイント上昇した。

BOCIは月次業務統計を参考に、今後の旅客需要の堅調推移を予想。ファースト、ビジネスクラス需要の伸びも続くとみて、イールドが高水準を維持する見通しを示した。ただ、貨物輸送部門の先行きに対しては相対的に慎重であり、この先の需要見極めが必要と指摘している。一方、航空機の1日当たり稼働時間数は前年同期を4.2%上回る12.3時間。今後も輸送能力の緩やかな拡大傾向が続くとみられている。 燃油ヘッジ益を除外した場合、中間期の燃油コストは前年同期比49.5%増の64億6100万HKドルに達した。ジェット燃油価格が38.8%高の1バレル当たり128米ドルに上昇したことや、輸送能力の増強に伴う燃油消費量の7.6%の増大が背景。単位当たり(1トンキロ)の燃油コストは3.14HKドルから3.35HKドルに膨らみ、営業利益率は前年同期の12%から6%に急降下した。ただ、燃油調達費を除外した場合の単位当たりコストは2.01HKドルから1.94HKドルに下向き、コスト管理努力の成果をうかがわせた。 燃油価格の上昇を受け、同社経営陣はコスト増に対応するための強力なヘッジプランを策定した。2010年の年報によれば、ブレント原油価格が1バレル当たり100米ドルに達した場合に、年間の燃油所要量の28%をヘッジ契約でカバーするなどの内容。6月中間期にはヘッジ契約による実現利益が9億6200万HKドル(前年同期は4100万HKドルの損失)、未実現評価益が11億9700万HKドルに達した。