11年3月通期に28%減益、先行き不透明感が持続

現地コード 銘柄名 株価 情報種類
00384 中国燃気控股有限公司(チャイナ・ガス・ホールディングス)  3.14 HKD
(06/30現在)
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中国燃気の2011年3月本決算は、純利益が前年比28.5%減の6億2600万HKドルとなり、市場コンセンサス予想およびBOCI予想をそれぞれ9.2%、12.2%下回った。デリバティブ評価損など非経常項目が主な減益要因であり、同期のコア利益は前年を40.2%上回る水準に達した。ただ、BOCIは天然ガスの販売量やガス管接続件数の伸び率鈍化、コスト増を受けた利益率悪化を懸念し、さらにLPG(液化石油ガス)部門の業績不透明感を指摘。コーポレートガバナンスに関する懸念にも言及し、同社株価の先行きに対する従来の中立的な見方を慎重見通しに引き下げている。

3月本決算では、天然ガス販売量が経営陣の予想を上回る前年比66%増の46億立方メートルに達した。個人顧客向けのガス管接続件数は90万1982世帯分で、接続収入は同60.5%増。一方、LPG部門は同期に2243万HKドル強の営業赤字を計上。国際LPG価格の不安定な動きを背景に、BOCIは同部門が厳しい経営環境下にあるとみている。

同社経営陣によれば、12年度、13年度のガス販売量は52億立方メートル、62億立方メートル規模となる見込み。前年比の予想伸び率はそれぞれ16.8%、17.0%と、11年3月通期実績の35%を下回る。BOCIは主要衛星都市部で都市ガス投資を強化するなどの同社方針を理由に、実際には年率19-20%の伸びを達成する可能性を指摘しながらも、12年以降の販売量の減速見通しに変わりはないとしている。また、同社は都市ガス販売価格の設定において、固定米ドルマージンを適用しているが、BOCIはこの方式ではコスト高に直面するたびに利益率の縮小を招くと指摘している。

11年3月通期には新規顧客向けのガス管接続業務が都市ガス(天然ガス)部門の利益全体の57.8%を占め、この分の粗利益率は50.16%と相対的に高水準だった。ただ、12年度以降はガス管接続収入の伸びが減速する見込み。経営陣は12年度、13年度にそれぞれ95万、100万世帯を予測しており、個人顧客向け接続収入は年率5.3%の伸びにとどまる見通しとなっている(接続価格の横ばい推移を想定)。

LPG部門では3月以降、原油高を背景に厳しい経営環境が続いており、経営陣はLPG相場の変動に対処するために輸入の比重を削減し、国内調達比率を引き上げる戦略を進めている(国内調達価格は相対的に低く、安定性が高い)。また、この先も垂直統合化を継続し、販売面ではより利益率が高い小売りのウエートを引き上げる方針という。ただ、BOCIは過去3期のLPG部門の業績に目を向け、こうした戦略の有効性には疑問符がつくと指摘。国内のLPG需要の伸びが昨年、前年比5.4%にとどまったことなどに言及し、LPG部門を取り巻く不透明感が続く見通しを示した。経営陣はまた、遊休状態となっている既存の港湾・ターミナル施設を生かすため、石油化学製品の貯蔵サービスを開始する意向だが、BOCIは採算性について懐疑的な見方を示している。