6月21日
秦皇島の発電用炭価格が上昇傾向持続、坑口価格との格差が拡大

中国の主要石炭積み出し港・秦皇島における発電用炭スポット価格は先週(6月14日-20日週)、前週比で上昇傾向を維持したが、その一方で山西省の坑口価格は調整した。BOCIは夏場を迎え、秦皇島の発電用炭スポット価格がさらに上向く可能性を指摘する半面、上昇余地は限られるとみている。今後は石炭輸入量の伸びが供給増につながる見通しという。また、硬質コークス炭価格は先週横ばい推移し、低品位コークス炭価格は下向いた。BOCIは当面、石炭セクターのアウトパフォームには期待しにくいとの見方。香港上場銘柄の中では引き続き、エン州煤業(01171)をトップピックとしている。

キーポイント

秦皇島の発電用炭スポット価格は6月14日-20日週も上昇し、大同産、山西産の高品位炭価格はそれぞれ1トン当たり前週比5元高の905元、845元に達した。

一方、山西産高品位炭(大同南部郊外産)の坑口価格は前週比10元下落し、1トン当たり520元。秦皇島スポット価格と坑口価格との格差は1トン当たり237元に拡大し、金融危機以降では最も大きな差が生じた。BOCIは山西省での生産量の増加や輸送能力不足が坑口価格の調整につながったとの見方。その半面、秦皇島では石炭取引業者が需要ピーク期の利ざや拡大を目指し、石炭相場の押し上げに動いたと指摘している。

秦皇島の石炭在庫は20日時点で前週比4%増の595万トン。豪ニューキャッスル産発電用炭のスポットFOB価格は16日時点で1トン当たり119米ドルと、ほぼ横ばい。

BOCIは今夏の発電用炭の国内スポット価格について、一段の上昇余地は限られるとみている。国家発展改革委員会(NDRC)が十分な石炭供給を確保するため、付加価値税(VAT)の引き下げによる輸出拡大策など、様々な手段に目を向けていることが背景。実際、輸入物と国産の価格差が1トン当たり2.7米ドルまで縮小する中、中国の石炭純輸入量は6月に前月比31%の伸びを示した。

中国国内の総発電量は5月に前年同月比12%。ただ、長江中流・下流域の干ばつ被害を受け、水力発電量は同3%の落ち込みを示した。水力発電が総発電量に占める割合は5月に13.5%と、5月としては4年ぶり低水準。ただ、BOCIは南部地域の最近の豪雨を理由に、向こう数カ月間の大幅な伸びを予測している。

低品位コークス炭のスポット価格は先週調整し、硬質コークス炭価格は前週並みで推移した。山西省柳林産の4号精炭価格(国内の硬質コークス炭価格のベンチマーク)は20日時点で1トン当たり990元。過去7週間にわたって横ばい推移してきた柳林産9号(半硬質コークス炭)のスポット価格は前週比10元安の880元だった。BOCIは国内コークス炭スポット価格が今夏にさらに調整すると予測し、その理由として鋼材を含む建材生産の閑散期に当たることを指摘している。