ネガティブなニュースが相次ぎ株価下落、下期は上向くとみて強気見通しを維持

現地コード 銘柄名 株価 情報種類
01101 中国熔盛重工集団控股有限公司(チャイナ・ロンシェン・ヘビーインダストリーズ)  4.16 HKD
(06/13現在)
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中国熔盛重工の株価が昨年11月のIPO価格(8.00HKドル)のほぼ半分にまで落ち込んでいる。大型鉱石船(VLOC)の納入遅れや受注の減少など、ネガティブなニュースが相次いだことが影響した。BOCIは同社の船舶納入スケジュールを見直し、当初含まれていた鋼構造物事業の利益貢献を除いた上で、2011-12年の予想利益をそれぞれ13%、51%下方修正。目標株価は11年予想PBR3.09倍から2.37倍の水準に引き下げた。一方、現在の株価にはネガティブ要因がすでに反映されており、下期にかけてはポジティブな情報が相次ぐとみて、株価の先行きに対しては強気見通しを維持している。

今年に入ってから同社が獲得した新規受注額はおよそ5億米ドル。通年目標の30億米ドルを達成できるのかどうか投資家の不安が高まっている。受注伸び悩みには造船市場全体の停滞も影響。世界造船市場の11年1-5月新規受注量は載貨重量トン(dwt)ベースで前年同期比47%減にとどまっている。さらに、同社が今年受注した船舶がすべて利益率の低いパナマックス型ドライバルク船である点もマイナス要因となった。オフショアエンジニアリングやコンテナ船など、より利益の高い受注が待ち望まれている。

同社の陳強CEO(最高経営責任者)はBOCIとの最近の会談において、11年に納入されるVLOCの隻数が当初予定の8隻から2-3隻に減少したことを明らかにした。主にクライアントの要望に合わせた変更で、今年中に納入できなくとも受注分の売り上げの一部は製造の進捗度に沿って今年度業績に計上することも可能だという。

同社は4月に高速ディーゼルエンジン事業を手掛ける安徽全柴集団を買収したが、市場はこれをネガティブに捉えた。買収により同社はディーゼルエンジン製品の拡充を図ることができるが、投資家の多くは、業界大手ではない安徽全柴集団の取得金額である21億5000万元が高すぎるとみている。

さらに、中国中鉄股フン有限公司との事業提携は、中国中鉄の経営陣の交代により近い将来の実現が困難となった。BOCIは提携によるスチールストラクチャーの新規事業が11年に3億元の利益貢献になると見込んでいた。

今後はコンテナ船やオフショアエンジニアリングプロジェクトの受注が見込まれるなど、ポシティブなニュースが期待される。また同社が通年の新規受注目標について当初の30億米ドルを現在も維持していることから、達成は不可能な水準ではないとみられる。ただ、下期に獲得した新規受注分は11-12年の業績には反映されないとみて、BOCIは予想値を控えめに見積もっている。