11年1-3月期決算は37%増益、短期的には控えめなバリュエーションに据え置く

現地コード 銘柄名 株価 情報種類
01688 阿里巴巴(アリババ) 13.42 HKD
(05/13現在)
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電子商取引大手アリババが発表した2011年1-3月期決算は、純利益が前年同期比37%増と市場コンセンサスおよびBOCIの予想に即した水準。売上高は付加価値サービスの貢献により国内、海外市場ともに前年同期を26%超上回った。BOCIは11年通年の予想売上高について、国際サイト「ゴールドサプライヤー」は前年比16%増、国内サイト「チャイナ・トラストパス」は同23%増、09年に買収したインターネット・サービス・プロバイダー「中国万網(HiChina)」は同35%増と設定。EBITAマージン(株式報酬前)は33%に達するとみている。世界経済の回復見通しが不透明なことから、向こう数四半期は増収率の鈍化が見込まれる一方、新たなプラットホームや付加価値サービス(VAS)の今後の貢献が期待される。

取引ベース課金の卸売サイト「全球速売通(AliExpress)」は、非会員サプライヤーの取り込みに成功し取引量が拡大。1日当たりの総取引額は半年未満で倍増した。同サイトの潜在性は高く、長期的には同社の主な収入源に成長するとBOCIはみている。

一方、親会社傘下のオンラインショッピングサイト「淘宝網(タオバオ)」と、アリババに登録する卸売業者の間の取引を可能にするプラットホーム「Wu Ming Liang Pin」も当期から貢献を開始した。現在試用サービス中だが、今後「淘宝網」同様の成功が見込まれる。

アリババは当期、人気の高いVAS「Ali-Advance」のサービスを海外市場にも拡大した。また、国内の中小輸出業者に人気の高い輸出関連VASの「One-Touch」も、今後国際サイトにおいて主要なサービスに成長するとみられる。

当期には繰延収益が過去2年間で初めて前四半期比マイナス成長(5%減)を示した。新規会員登録の減少を反映しており、今後の増収率鈍化が懸念される。

国際サイトの有料会員数が減少傾向にある。当期は買収した子会社の貢献により増収を維持したが、今後は会員数減少が売上高に影響する見通し。

BOCIのマクロ経済調査部門は先ごろ、中国の11年輸出額の予想伸び率を前年比18.3%増に引き上げたが、下期も引き続き動向を注視する必要がある。4月の貿易統計は輸出が前年同月比29.9%増と高い数値を示したものの、通年では20%以下に低下するとBOCIはみている。

BOCIはアリババについて、中国B2B市場の成長性、同市場におけるシェア、グループ内事業のシナジー効果を踏まえ、長期的にはポジティブな見方を維持している。ただ短期的な見通しは世界経済の不透明感や事業再編が完了していないことから控えめに設定。株価の先行きを中立の見方に継続している。なさるようにお願いいたします。