経営能力を高く評価、原材料価格の安定化や消費拡大が追い風

現地コード 銘柄名 株価 情報種類
00322 康師傅控股(ティンイ(ケイマン・アイランズ)ホールディング)  23.65 HKD
(05/17現在)
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BOCIはこのほど行った訪問リサーチを受け、康師傅控股の先行きに対してポジティブな見方に転じた。2011年1-3月期決算も予想を上回り、マーケティング、研究開発、コスト管理などの面で優れた能力を示す形となった。今後は中国国内の1人当たり消費の拡大や消費レベルのアップグレードが長期的な追い風となる見込み。また、11年下期に商品価格の軟化が見込まれることもプラスとみられている。BOCIは同社の11-13年の利益見通しを3-5%上方修正。目標株価を引き上げ、株価の先行きに対する従来の中立的な見方を強気に引き上げた。

1-3月期には原材料価格が急騰する中で、粗利益率の下落幅を許容レベルに抑えた。中でも即席麺部門ではハイエンド製品へのシフトが奏功し、粗利益率は26.1%と1.6ポイントの低下幅にとどまった。BOCIによると、ヤシ油価格は現在すでに1-3月期を下回る水準にあり、小麦粉の緩やかな値上がりを相殺している状況。こうした中、同社の粗利益率は1-3月期に底入れしたとみられている。今後は平均販売価格の上昇や販売量の拡大、さらに商品構成の改善などが、粗利益率回復に寄与する見通しという。

一方、飲料部門では販売拡大戦略を進めており、1-3月期の飲料売上高は前年同期比53%増とBOCI予想を上回った。既存製品の販売好調や新製品投入が大幅増収を支えた。部門粗利益率は5.4ポイント低下したが、これは原材料価格の高騰によるもの。砂糖とPET価格はそれぞれ前年同期比38%、29%高騰。砂糖、PETの値上がりはその後も続いているが、BOCIは7-9月期の反落を見込み、飲料部門の粗利益率が4-6月期に底入れすると予想。12年には売り上げの拡大が部門利益の伸びを支えるとみている。

同社はPETボトルのPET樹脂含有量を減らすなどの手段でコスト削減を実施している。また、生産効率化に向けて設備投資を継続しており、世界最大規模となる天津の新たな即席麺工場には第5世代に当たる新規ラインを設置した。新たなラインの生産能力は1分当たり即席麺500個(第4世代のラインは300個)。その他ラインの第5世代への切り替えも計画している。また、天津工場では、飲料ラインの1本当たり生産能力も1時間4万8000本(前世代は3万6000本)に達した。

BOCIは今回の訪問リサーチを経て、同社の販売システムに感銘を受けたとしている。新製品を2カ月以内に全販路に振り向ける供給体制に加え、売り場の最良の位置に自社製品を並べるなど、ディスプレー面でも努力の跡がみられたと指摘している。

国内即席麺市場における1-3月期の同社シェアは販売量ベースで42.7%、販売額ベースで57.2%。10年10-12月期にやや低下したシェアが再び上向きに転じた。一方、茶飲料、濃縮還元ジュース、ボトル水のシェアはやや低下し、販売量ベースでそれぞれ52.8%、32.4%、22.5%だった。