3月14日
在庫量が減少、大地震で鋼材価格は高騰へ

先週(3月11日まで)の鋼材スポット価格は下げ幅を速め、鉄筋が2.3%、熱延鋼板が1.8%下落した。需要減退が主因。鉄鋼メーカーが工場渡し価格を引き下げ、トレーダーの資金不足への懸念が強まっているため、鋼材は値下げ圧力に見舞われた。鉄鉱石やコークスの価格調整も比較的大きく、原材料価格が鋼材価格を下支えするという根拠も弱まっている。ただ、春季の需要増を背景に下落幅は限定的。BOCIは、日本の大震災が中国の鋼板輸出を後押しする可能性に加え、中国国内の需要増を受けて鋼板価格は上昇基調に入ると予想した。条鋼類については、供給の増加、政府の厳格な不動産引き締め策に伴う需要増加時期の不透明化、引き締め策強化の可能性、トレーダーの資金不足といった要因で、3-4月の建築用鋼材の価格は抑制されるとみている。鉄鋼関連銘柄のバリュエーションが割安なため、関連銘柄の株価は3月に強含む見込み。BOCIは、大冶特殊鋼(000708)や新興鋳管(000778)などの特殊鋼メーカーに加え、宝山鋼鉄(600019)などの大手も選好している。

ポイント

  • 条鋼類の下落幅は前週比2.3-2.7%。鋼板は0.9-1.8%下落した。
  • 鉄鉱石価格も大幅に調整。青島港のスポット価格は4.4%安、コークスは1.5%安。
  • 工場渡し価格も広範に下落。沙鋼集団は3月半ばの鉄筋と線材の価格を1トン当たり300元(6%)引き下げた。下げ幅は市場予想を超えており、スポット市況にネガティブな影響を与えている。
  • 2月の中国の粗鋼生産は日量182万3000トンで、前月比12万トン増。2月下旬には同191万2000トンに達し、直近10日の平均比5.5%増加。10日間の生産量の最高を更新。
  • 1-2月の中国の鋼材輸出量は前年同期比4.2%増の560万トンで、輸入量は同7.0%増の266万トン。鉄鉱石の輸入量は22.6%増の1億2000万トン。
  • 先週の鋼材在庫は前週比1.5%減。2010年末から10週連続で増加していたが、減少に転じた。内訳は、条鋼類の在庫が同1.9%減で、鋼板が1%減。
  • 鋼材の川下需要はいくぶん改善。今年は高速鉄道と低価格住宅の建設投資が拡大するものの、需要回復のタイミングが不透明で、回復時期が11年下期までずれ込む可能性もある。厳格な不動産過熱抑制策や資金不足が建築用鋼材の需要を抑えている。
  • 日本で11日に大地震が起きた。日本の鉄鋼大手5社の一部設備は沿海部に位置し、少なくとも5カ所の大型設備の稼働が最長で6カ月にわたり停止する見込み。中国の鋼板メーカーは輸出を伸ばし、価格も引き上げると予想される一方、日本の鉄鉱石需要の減退で鉄鉱石価格には下落圧力がかかるとみられる。
  • 鉄鋼銘柄株価指数は先週、前週比1.36%安と、CSI300指数(0.71%安)をアンダーパフォーム。大手と先週上げた銘柄が軟調。